蜷川実花
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私は作品だけ撮っているよりも、いろんなことをやっているほうがいいみたい。仕事で課題を与えられて、どうしたらクリアできるか考えるのも楽しいし。仕事でやったことが作品で生かせたりするし。振り幅を大きくもっていたほうが、自分自身の得るところがたくさんあって、楽しいんです。
私たちは女のままで色んなことができる最初の世代だから、女であることをちゃんとやっていきたいんです。
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昔は写真を「可愛い」っていわれるのに抵抗を感じていた時期もあるんですが、今は逆に「女の子が写っていて、カワイイって、...素晴らしいことじゃないか!」という気分で。自分が年をとってきたせいもあるのかも知れませんが。
とにかく私はよくやるんですが、クライアントからいろんな要求があった時、違うなと思っていちどやって見せるようにしています。もちろん出来ない事もあるけど、出来る限りやってみせちゃう。そうすることによってやっぱり良くないねってなることはすごく多いです。ヴィジュアルのプロじゃない限り目で見なくちゃわからないのはあたりまえ。逆にいうと見ればわかる事がほとんど。なのでことばで説得するよりも見て納得してもらうほうがシンプルです。
三十過ぎるくらいってなんとなく仕事も一巡して経験値もあがってくる頃。ついつい自分は出来る気になってるから上の出来なさに辟易としたり、下にはきつめにあたったり。たとえそれが正しく正論でも、あたりがきつすぎると関係がギクシャクするでしょ?正論ってなかなか難しいです。もちろん正しいんだけどそれだけじゃどうにもならない事いっぱいあるしねー。少し意識するだけでだいぶ違うと思う。仕事出来て、女性として柔らかいのが理想です。
いや、もちろん中身も大事なんですが、見た目は本当に大事だと思う。だって人は初めて会った時見た目で判断するでしょ?ほんの一瞬で無意識にこういう人だなって決める。だったらちゃんと意識的にならないと。服を選ぶのって私はこういう人ですって意志だと思う。
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女子には出来る限りこうありたい自分でいる。逆に男子の前ではある程度ダメな部分を出すかなあ。というか素直に出来ない事は頼ります。結構男子は喜んで助けてくれるし、変に肩肘はって接するより関係がスムーズになると思う。
いつもいろんなことを同時進行して、それがまた楽しい。かなり前向きなんですよ、私。
あの人より私のほうが幸せ、っていう安心の仕方は本当に品がないし無意味。
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どこに目を向けるかなんです。自分で自分の楽しいことに焦点を当てて、そこを育てて生きていくのが、本当に大事です。
ポイントは、目上の人でも、ほめてもらうと嬉しいってこと!そんな目上の人にたいして何か言うなんて失礼かもって思わないで。ほとんどの場合は失礼じゃないです。例えば私が撮影してても、アシスタントなんかはあまり何も言わない、若い編集者も言わないかな。でもね、私がちょっとえらくなったからわかるけど、ちょー好きな写真です、とかすごく綺麗です、とか言ってくれたら嬉しいんです。
そもそも「自分を探しにいく」という行為自体が不思議なんですよね。自分を探すって「探しに行って見つかるもんじゃないのが自分」だったりするじゃないですか。私も「自分らしさ」なんて無いもん。
まあ、私はとにかく自立してる女が好きなんです。あと自分を愛せる人は素敵ですねぇ。
相当ハードに命がけでやっても、無理なものは無理なんです。
「人と違わなきゃいけない」というのが「なんで違わなきゃいけないの?いいじゃん、一緒だって。」という方向がなくなってきてるのが気持ち悪い。
女性の難しいところって、「だって好きなんだもん」って思って、いいものを作ったり、いい感覚を持ってたりする人はたくさんいるのに、それを世の中に出して、お金に変えるための俯瞰の目線を、持っていないことなんじゃないかな。もったいないですね。
去年の11月にオーストリアに旅行したんです。それまでテーマが決まっている写真を撮ることが続いてたんですけど、その時は「とにかく撮りたいから撮る」って写真を、久しぶりにいっぱい撮れた。それが本当に楽しくて。やっぱり自分の原点はこれだな、と。「撮りたい!」という気持ちにいかに純粋になるかだと、あらためて思いましたね。
無名な時からこんななので、当時は「態度がでかい、生意気」って言われたんですけど、世に知られていくと同時に「有名なのに、いい人」に変わっていったんですよね。
美しい意思のある肉体はいいねー女子も男子も。
とにかく出来る出来ないは別にして、自分に都合のよい、本当にやりたいこと、なりたいものを目標に掲げるのがポイント。結構ドキドキするんですよ、なりたい自分が今の自分とあまりにも遠くて。でも遠かろうがなんだろうが、それが本来なりたい姿。その位置がわかったら、あとは進むしかないんです。ちょーちょっとずつでも進む、少しずつなりたい自分に近づいていく。近道はないので自力でやるしかないです。結構辛い作業ですが、理想と現実の距離を逃げずに意識して過ごす日々は大切です。
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