この前モロッコに行ってきたの。砂漠をね、老人や子供たちが水を運んでいるの。ニコニコしちゃってさ、元気なのよ。すごく!子供がロバをバンバン引いて。親父は怠け者だからだらだらして、子供は早くあんな風に大人になって怠けたり、不良やったりしたいから働いちゃうの。それが普通の生活なの。市場があって、カスバみたいなのなんだけど、夕方4時くらいから夜の12時過ぎまで人の波が途切れないのよ。大道芸人とか蛇使いとかいてね。人々の熱気とか話し声とかが、ワーンと空まで轟いて。そういう中にいると、大地の力強さみたいなのが素直にわかるんだよね。言葉なんてこんな時にしかいらないんじゃないかと思ったね。フィジカルになりたいね。今。
松田優作