松田優作
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真剣にやっぱり映画に向かってほしいですね。癖ですから、役者の。いつも勝負してるっていうのは。
これで、日本の映画状況がどうだのこうだのとか、黒澤明の映画がどうだのこうだのとかいうような、そういうぐずぐず泣いている暇はねえなと。とにかくアメリカで通用することがわかったんだから、俺たちの方法論というのは間違ってなかったんじゃないかということが、監督と二人でわかったということであって、そしたら二人で「家族ゲーム」以上のものを作っていかないとまずいなということで、元気になって帰ってきたんですよ。
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俺は夢ん中でも映画のこと考えてんだよ。
お前たちは、俺には絶対に勝てない。なぜなら、俺は24時間映画のことを考えているからだ。
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ファンほど恐ろしいものはないし、勝手なものはないし、また、ありがたいものはないですね。その時ばっかりに固執して、こっちが抱き込んでいこうとしても、向こうはどんどん変わっていってしまうし、ぼくよりいい人を見たら、そっちへ行っちゃうしね。それを「待て」とも言えないでしょ。こだわってしまうとかえってつまんなくなってしまうんですよ。
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テレビなんかで完全にお仕事として、お金として割り切ってやるやつは、そのままいくだろうけどな。
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俺は監督やスタッフにどんどんアイデアを出したよ。ところがことごとく否定しやがるんだ。セリフでくどくど説明しないでもっと沈黙の演技をしたらいいじゃないですか、といっても駄目。犯人を捕まえるときに何でもかんでも手錠をガチャっとかけてラストになるけど、たまには犯人の肩をたたきながらパトカーに乗せてやってもいいじゃないですか。それも駄目。監督の方が脚本を深く読んでいると思えばそりゃ従うよ。しかしとても納得できる説明はないんだ。やつら、無難に番組ができあがることしか頭にねぇんだ。俺の求めている世界とは違う。テレビなんてそんなものさ。
偉そうに言ってしまえば、山崎努の脇役なんかやってられねえよということなんですよ。遊びでゲストっていうのは嫌なんだよね。だから、猫八さんでよかったと思うし。伊丹さんは「家族ゲーム」で一緒で、非常に勘の鋭い人で・・・・。頭はいいんだけどね。その人が監督をするっていうんで、脚本ができたときに読んでくれませんかと言われて読んで、面白かったですよって話して、何かお手伝いが出来ればいいねっていうぐらいの話だったんですよ。だからお手伝いができなかったというだけのことで・・・・。彼のレトリックで文体で撮れば、結局「お葬式」みたいになっちゃうでしょう。俺はあの映画嫌いだから。はっきり言って。だって血が通っていないんだから。魚眼で全体を観ているような目だからね。
全部に感性を開いていないと、新しい映画っていうのはできていかない。ありとあらゆるものに関して敏感じゃないと。
ありましたよ。自分の柄とか雰囲気とか、ピストル持って走ったりして、撃つことだけ、カッコよかったりすることだけを工夫してれば、何とか絵は繋がると、そういう時期もありましたからね。そういう、観客に失礼な時期が。だから「太陽にほえろ!」の時は役者じゃなかったんですよ。好きじゃなかったしね、あの映画は。自分のナチュラルな生理から言えば、ほとんど嫌なところだったというか。人間関係とかね、実際に出ている役者さんなんかもね、ほとんど嫌いでしたからね。だから「太陽にほえろ!」に入って5週目ぐらいでもう、ぶっ叩いたりとかね。助監督から、監督から、プロデューサーから役者まで全部。
先生、例えどんな病気でも、正直に俺に言ってください!でも周りにだけには絶対に言わないでくれ!女房には言わんでください・・・。
ヤクザは24時間ヤクザだから怖いんだよ。
渡さんや原田さんを見てると、何というか越えてるって気がするんですよ。いろんな事全てに関して・・。ストイックに耐えていく作業が、逆に言えば一番闘っている、と・・。何を言われても全部自分の中に飲み込んでしまって、自分がいつ、どこで、それを燃焼させりゃいいかを考えて耐えている。それが、あの人たちの映画に賭ける情熱だ、という気がするんです。実際、渡さんの「仁義の墓場」を見たとき、あの人の中で何かが越えた、と思いましたね。
たとえばアクションならアクションに対してだいぶ間隔がありましたからね。だから時間が経ってやっとやれるなという・・・・・わかります?言ってる意味。アクション映画として最後にやったのは「BJブルース」ですよ。だから「それから」が終わって直ぐ「それから」みたいな映画をやるのは無理ですよ。やっぱり一年くらい必要ですよ。アクション映画に関してはやっぱりすごくありましたから。三年・・・・いや三年じゃきかないな。四、五年くらいね。だからその思いでやれるわけです。充分、時間があったと言える。わかります?言ってる意味。そういうことなんです。
肉体を持たないアクションってあってもいいんじゃないか?
見えないものをつくっていく喜びがあるから、どんなに苦しくてもやり続けられるんだよね。
最初に住んだのは池袋です。ええ。アパート。ま、それでブラブラしてるうちに芝居をやりたいと。でも、まだ芝居って言っても新劇とか何とかってわからない頃だし、高校時代に演劇部に入っていたわけでもないから・・・。ただ、劇団入るには金が無くちゃいけないって思ったんで、朝は牛乳配達、昼は皿洗い、夜は夜でまたバイト、なんて生活を一年ほど続けましてね。
世間は「松田優作は着々と・・・」なんて言うけど、着々なんて言うのは、そんなもの、目的じゃないもの。家を建てたとか子供が産まれたとか、俺の中ではそういうものは着々でもないしねえ。家とか、家庭とか、着々とか、ないわけでねえ。だって70年しかないんだから、人生って。ただ、ゼロとの落差はつきやすくなったかも知れないね。でも危険度は相変わらずですよ。むしろ増してんじゃないかな?だけど、ま、いつゼロになってもいい覚悟はしているから。転げ落ちるのは全然怖くないよ。だって、物質的に欲しいもの、ないんだから。
俺はまだ発展途上人なんですよ。
直球しか投げられないピッチャーは、ずっと直球を投げ続けていけばいいんだよ。変にカーブを投げようとか、時代に合わせてシュートを投げてみようと思わないで、ずっと速球を投げ続けてみろ。
松田優作のすべての名言