村上龍
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人間が変わる要因となるのは、趣味でもスポーツでもなく、困難な仕事をやり遂げるとか、運命的な他人と出会うとか、そんな場合だけです。ただ、変わるといっても、別の人格になることはできないので、正確に言えば「自分が変わる」というより「周囲・環境」が変化し、それによって自分の中で新しい何かが生まれるのを感じるといったニュアンスです。自分を変えるのではなく、仕事や人間関係において、外部を変えることを考えてみたらどうでしょう。
目標は自らの中に封印されていなければならない。だから目標を持つことは基本的に憂うつなことである。
ヒューマニズムは霧のようなもので、ものが見えなくなる。
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本当に「必死で言葉を探して」いるのなら、いつか必ずいい言葉を発見できる。
生きろ、そう叫びながら心臓はビートを刻んでいる。
生きてさえいれば、またいつか、空を飛ぶ夢を見られるかも知れない。
案外重要なのは、相手をよく知ること。相手がどんな人か、何に興味があって、どんな考え方の持ち主か、それがわかれば、糸口が見いだせるかも知れません。
一番自意識が過剰なのが大衆だ。
運命の相手というのは、私はいないと思います。人生の最良のパートナーとなるような女性と付き合うべきなのでしょうが、男女の仲というのはそれほどうまくはいかないものです。
2
自分がどんなことを達成したいか、わかっていない人は、1年経とうが、30年経とうが、達成できない。
異常よりも平凡を描くほうが難しい。
唯一の復しゅうの方法は、彼らよりも楽しく生きることだと思う。
3
人間は柔らかい生きものだ、その柔らかさ、脆さ、危うさが人間を人間たらしめている。
人の死は、物理的な消滅だが、完全に別人になってもその人は生きていかなくてはならない。
すごい奴っていうのはそいつに何か例えば才能みたいなのがべっとりとくっついているんじゃなくて、何か欠けてる場合の方が多いんだ。
優しい男を信用してはいけない、必ず優しくなくなる時がくるからだ。
4
人生はとり返しのつかないことの連続だ。
偶然と欲望と生理がからまって歴史ができる。
ある工業デザイナーから聞いた話が印象に残っています。彼は事情があって東京から故郷に戻り、しばらくずっと「東京にはあって地元にはないもの」ばかり考えていたのですが、あるとき「地元にはあって東京にはないもの」を探そうと思ったそうです。彼の場合、それは地元の伝統工芸でした。「地元にはあって東京にはないもの」とは、きれいな空気や海かもしれないし、新鮮で安くおいしい食材かもしれないし、住居費を含む安価な物価かもしれないし、密な人間関係や人情といったものかもしれません。「地元にはあって東京にはないもの」は、必ず存在します。
オープンにされた反省はすでに敗北。
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