樋口武男
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人を動かすのは、結局、率先垂範とコミュニケーションです。私は社員の一人一人と朝に晩にマンツーマンで徹底的に会話するようになりました。胸襟を開いて自分の思いや考え方を伝え、ときに自分の弱い部分もさらす。相手の話にもじっくり耳を傾け、互いの本音で語れるように心がけました。結果、一体感が増した山口支店は一年後に社員一人あたりの売上高、利益率で全国トップになりました。
現場の社員とのコミュニケーションを密にするために設けたのが、社内のイントラネットを通じて、会社の問題点や営業のアイデアなどを私に直接意見できる「提案BOX」です。社員に実名での投稿を求める代わりに、提案者の秘密は厳守しました。そこで挙がったアイデアを、その後の経営に生かしていったのです。
その気になって働けば、おのずと本来備えている能力が発揮される。
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採用が冷えている今こそ優秀な人材を採れるチャンスだ。
人間、生まれたときはだれでもそう大差はない。持っている細胞の数もそれほど変わらない。揉まれて努力することで初めて能力差がつく。しかし、いくら努力しても運がついてこない人がいる。運と努力がマッチしないと芽は出ない。ならば、運はどうやってつくのか。不義理をするとか、王道を進もうとしない人には、運はついてこない。
褒めるときも、叱るときも、真剣でないと相手にこちらの本意は伝わらない。
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組織の雰囲気を変える起爆剤となりそうな人物を見いだして活躍させることが大切。
会議は「回議」とも書くし「怪議」とも書きます。結論の出ない会議は、ただ回っているだけ。いまのようなスピードの時代に、そんなことをしていても、何も前には進みません。
特殊な技術や才能が必要な部分は、それなりの研鑽を積んで専門的に仕事をしないといけません。ですが事務や営業などの仕事をする場合、人間の能力による差は、それほどないと考えています。大きいのはその人のやる気の差です。ですから、やる気になって努力してもらうためにどういうふうにしていったらいいか、ということを考えればいいのです。
会社は公器であることを忘れてはなりません。公人としての姿勢を保つには、経営者に私利私欲があってはなりません。
営業職はある程度数字という形で結果が出るが、それ以外の部門ではその部署で、なくてはならない人間になることが大切。
熱意は採用の絶対条件です。その熱意が本物かどうか、それを見抜くのが経営者の仕事。なかなか難しいですけどね。
あばたもえくぼと言いますか、事業に惚れてしまったら、どんなことがあってもいいとしか考えられなくなります。結局、世の中に必要なものは何かを常に考えるということが大切です。
運は勝手についてきませんが、特別な才能もいりません。「口」に「+」と書いて「叶う」と読みますが、ポジティブな言葉を発するといい。そして私の祖母の教えのように、嘘とごまかしなく、人様に迷惑をかけることなく、堂々と生きればよいと思います。
私は「独断」はするけど「独裁」はしないと言っています。組織が大きくなると、会議や協議が多くなって、なかなか物事が決まらなくなる。だから「カン」が大事になる。カンは経験を積まないとなかなか当たりません。当社は株式会社なので、もちろん会議にはかって了解をとるわけですが、「分かった、やろう」と決めたらあとは早いですよ。
全社員にはまず高い目標を持ってもらい、そのために何をすべきかを考えてもらう。そして、希望に沿った人財育成策を受けてもらいます。
「会社は公器や」と創業者も言っていました。公器の精神でいくのであれば、公の精神を民間企業人も当然持たなければなりません。そういった精神で事業を進めていくことがサステナブルな企業になるということになります。
リーダーたる者には4つの力が必要です。「先見力」「判断力」「統率力」そして「人間力」。この人間力が一番難しい。後ろ姿で部下を引っ張れる力で、俗にいうオーラです。「おまえ、俺にオーラを感じてくれ」と言って感じられるものではありませんが、人間的魅力がないと部下はついてきません。
最近はインターネットの普及などで非常に便利な世の中になりました。ですが、こうした技術がいくら発達しても、技術はモノをいうわけではないし、相手の心を動かせるわけでもありません。あくまでも一つの道具です仕事をするのは結局のところ人。人を育てるのが一番大事です。
親孝行な人は常に好感を持たれるようです。両親に感謝していない人に、立派になった人はいません。親子で会社を引き継ぐ場合も同様です。
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