樋口武男
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私が大和団地の社長に就いたとき、新聞記者が何人も取材に来ましたが異口同音に「社長、まずはリストラですね」と言いました。しかし私は、世間一般で言われるリストラ、つまりクビ切りをするつもりは毛頭ありませんでした。弱っている会社で人員整理をしたところで何の解決にもなりません。
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企業の成長はエンドレスです。水も流れが止まったらよどみますし、水の流れと同様に、企業も常に前進しないといけません。
思いやりのない人間は、いくら頭が良くても部下は育てられません。「俺が、俺が」という人間にも、大した人はいない。そんな人が上に立てば、会社はダメになります。
勉強は大事ですが、理屈だけこね回していても、仕事は前に進まない。理屈が達者ならば、学者になればいい。しかし一般的な仕事では、「お客様」から受注を頂かなければなりません。お客様が気に入ってくださるような熱意や誠意が伝わらないと、かわいがってはもらえない。理屈だけしゃべっていたら、生意気なヤツだと思われるだけです。
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自分がどうなりたいかという明確な意志がなければ努力もできません。志があれば逆境にあっても耐えられるはず。
このごろは、上司に怒られただけで「パワハラ」と騒ぎます。しかし、腫れ物にさわるような接し方では、人は成長しない。怒られているほうが「自分を鍛えてくれている」と思うかどうかですね。
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大和団地の社長に就任した時、「リストラはするのか」とよく聞かれました。答えは「ノー」。その代わり、「厳しく働いてもらう」と答えた。リストラすれば身軽になるけれど、優秀な人ほど辞めてしまい、やる気のない人が会社に残ってしまう可能性がある。そうすれば、会社は本当にダメになります。「リストラはしない。この会社を再建しようと本気で取り組んでいるんだ」と宣言しました。だからこそ、厳しくする。それに耐えられない人は辞めていくしかない。結果、やる気のない社員が辞め、優秀な社員がたくさん入ってきた。それから、会社が変わってきたのです。
スピードアップに貢献した改革はいくつもあります。たとえば、役員の任期を2年から1年にしたのもそのひとつです。結果は2年で出せばいいなどと悠長に構えていられたら、この変化の激しい時代は乗りきれません。
言葉に説得力を持たせるには、率先垂範の姿勢が不可欠である。山口支店長だったころの私には、部下の2倍は仕事をしているという自負があった。私が率先して支店の業績を上げようとしていることは、誰の目にも明らかだったはずだ。もしその裏付けがなかったら、部下との「徹底対話作戦」は意味をなさなかっただろう。
上司は上から目線で話をせずに、相手の立場で話を聞くことが大切だ。
意欲の高い人には特徴があります。それは、明確な夢や、確固たる志をもっているということです。
責任逃れをする会議なら、しないほうがましです。誰かが責任を持たなければいけない。
私も上司にたびたび歯向かってきましたが、運が良かったのは、強烈なオーナーがいたから。相手が部長だろうが専務だろうが、オーナーの前に出てケンカして勝てるかどうかです。オーナーは必ず会社にとって良い方を選ぶ。だから私も、会社にとって良いと思うことをきっちり言ってこられた。そこに一番の救いがあった。
グローバル時代と言うのであれば、その物差しもグローバルで計らなければいけません。
成功する人の12カ条。
当社では、介護する人もされる人も助かるよう、自動排泄ロボットを販売しています。どうしてハウスメーカーがそんなことをするのか。それは創業者の「時代の先の先を読む」「社会に役立つことをする」という教えがあるからです。日本には、寝たきりの高齢者が約130万人いると言われています。介護する人もまた高齢化しています。そして、下の世話というのはとても大変なことです。だから自動排泄ロボットを販売しているのです。
「大和団地」の経営再建では、まず「サナギからのスタート」というスローガンを掲げた。「サナギ」の頭文字には、「S=スピーディーに」「A=明るく」「N=逃げず」「A=諦めず」「G=ごまかさず」「I=言い訳せず」という意味があります。こうして、「サナギから美しい蝶に生まれ変わろう」と呼びかけたのです。言葉だけでなく視覚にも訴えるため、ビルをサナギのような黄緑色にした事業所もありました。
日本で初めてとなるプレハブ住宅をつくったのも、住宅ローン制度を日本で初めてつくったのもわが社です。当時、住宅とは退職金で購入するものでしたが、この制度のおかげで30代でも家を持てるようになりました。事業とは人マネではなく、パイオニア精神で大きくなるものなのです。
自分の責任を果たすというのは、社会人としての最低限度の常識。
人口減少が進む日本では今後、住宅事業だけではやっていけません。現在、戸建て住宅の売上高比率は12%弱で、マンションなどすべての住宅事業を合わせると約48%になります。残りの50%強は、新しい事業を拡大してきた結果です。だからこそ、今日の姿がある。これも、社員のやる気の賜物です。
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