兼元謙任
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デジタル技術の発展に伴い、人々のコミュニケーションの希薄化が指摘される昨今、デジタル世界のネット上でも人間同士の「互い助け合い」のコミュニケーションを生み出し、世界中に「ありがとう」を創造していくことが私の使命だ。
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不況だ何だといっても、まだまだ日本は豊かです。この恵まれた環境で仕事ができるのは大きなチャンスです。不安など感じている場合ではありません。
今では、あらゆる機器がネットでつながり、AIが対応する時代になりつつあります。しかし私はAIがどれほど普及しても、人間と機械・ロボットが手を取り合って助け合っていく世界を目指していかなければならないと思っています。
いまでもバスに乗らずに歩いてみたりします。ただ、誤解しないでほしいんですが、ケチとは違うんです。歩くことで四季の移り変わりや自然の美しさを感じることができるでしょう。こういう心の余裕や感性をなくしたら、いい仕事もできないと思います。
欲しかったものをやっと手にいれたら、急に気持ちが冷めてしまうことがあるでしょう。一番楽しいのは、「手に入れたい」と思って計画したり、待ちわびているときです。だから、たくさん憧れがあるのが、一番幸せなんです。
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いまでもホームレス時代と基本的な金銭感覚は変わっていません。
40代ともなると経験も積み、スキルもついてくる。これまでの積み重ねで仕事ができるので、手を抜こうと思えばできてしまう。だからこそ、仕事に情熱を注げる人と注げない人では、結果や成長に大きな差が出てしまう。
会社を設立当初、私はお金に対して無頓着、お金にまつわる諍いも経験したことから「汚い」「お金がすべてではない」という思いすらありました。しかし、ある人に「お金はすべてじゃないけど、ほとんどである」と言われて考え方を変えました。「例えば、お金で本当の愛は買えませんが、気になる相手とデートができたり、プレゼントをすれば喜ばれたりとお金のおかげでできることもたくさんあります。そう考えると、お金を毛嫌いするのではなく大事にしてみようと思ったのです。
これは祖父から受け継いだ考え方なのですが、物欲には「預けているんだ」という考え方で対処するのがいいと思います。どうしても欲しいクルマがあったら、ディーラーに預けてあると思えばいいのです。自分がお金を貯めて取りに行くまで、毎日ピカピカに磨いて保管しておいてくれていると。
私は「自分は飲みに行きません」と宣言しています。どうしても断れない席でも「ウーロン茶しか飲みません」と宣言します。お酒を飲んでも気持ちよくなれない体質なのです。はっきりと「飲みに行きません」と言ってしまえば、「そういう人なんだな」と思ってもらえます。それで付き合いがなくなるなら、ご縁がなかったということです。要するに、「飲み会に出なきゃ」というのは根拠のない不安なんです。
漠然とした不安や期待でお金を使わないことが大事です。有料の交流会なども、「人脈づくりのチャンスがあるかも」程度ならパスすべきです。お金を出していいのは、たとえば「TOEICで何点を取れればこのポストにつけて、給料がいくら上がる。だから教材費にこれだけかけても採算がとれる」というように、明確にいえる場合だけです。
私はホームレス時代、公園のトイレでノートパソコンをを広げてウェブデザインなどの仕事をしました。それが現在の事業にもつながりました。そう考えると、自分も経験しましたが、給料が減るぐらいはなんでもないことです。
命にかかわることは別として、お金を借りないこと。欲しいものがあれば、お金が貯まるのを待つ。私は三河人だからなのか、とにかく借金は嫌いです。
お金の使い方を急に変えるのは無理です。小さいことから変えていくのがコツです。
自分がこれをやりたいと思うなら、それが実現できるかどうかは、それほど重要ではありません。なぜなら、どう頑張っても無理なことは、人は最初からやりたいと思わないからです。疾走するダンプカーを、自分の力で止めたいと本気で考える人は、まあいないでしょう。でも、のろのろ近づいてくる軽自動車を身体を張って停車させるというレベルなら、目標に据えている人がいてもおかしくありません。要するに、それをやりたいと思った時点で、実現の可能性はあると、無意識のうちに判断しているのです。
洗脳とかマインドコントロールとか言うと、胡散臭いと感じる人もいるかもしれません。でも、現実をどう感じるかは認識、心の問題です。自分の認識を変えれば、たとえば「会社の業績が悪くて給料が下がる」という状況は同じでも、不安は減らせます。
お金に対する不安を克服するには、自分の不健全さを自覚することが大切です。「自分は自己信頼を失った不健全な状態にある。だから、お金に対する不安が湧いてきてしまうんだ」と思うだけでずいぶん楽になります。そのうえで、自分を洗脳し直します。「私はお金に対して自由だ」「必要なお金はちゃんと入ってくる」と毎日言い続けるんです。私もある先輩経営者にこれを勧められたときは半信半疑でしたが、やってみると効果があります。本当にお金に対する不安が消えていきます。
頭の中の回路を、目標を「考える」から、勇気を出して目標を「決める」に切り替える必要があります。ああでもないこうでもないと悩んでいるだけでは、目標なんていつまで経っても決まらないし、目標が決まらなければモチベーションも上がらないということを知っておくべきです。
「お金がない」といっても、本当に1円も持っていない人はまずいないでしょう。「いますぐ、欲しいものを手に入れるだけのお金はない」だけです。ところが「いますぐ」という枕詞を取って、「お金がない」と簡単に口に出してしまう。「俺はお金に不自由している!」というマインドコントロールを自分に施しているようなものです。これを長年にわたって続けていれば、惰性が働いて自己信頼が弱まってしまうのは当然です。
私は「またか」と「珍しいな」という言葉を意識して使っています。自分にとっていいことがあったときは「またか」、あまりよくないことが起きたら「珍しいな」を使うのです。営業の電話を「また断られた」ではなく、「珍しく断られた」。プレゼンが「珍しく上手くいった」ではなく「また上手くいった」という具合です。これを習慣化すると、本当に「またか」が増えて、「珍しく」が減ってきます。
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