リチャード・カールソン
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怒りを感じたら、まず深呼吸しながら心の中でひとつと言う。次に息を吐きながら全身をリラックス。ふたつ、みっつと続けてすくなくとも十まで繰り返す。深呼吸しながら数えると気持ちが穏やかになって、しまいには怒っていることも忘れるほどだ。これが身につくと、怒りの方から遠ざかってくれる。
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自分がやるべきすべてのことをチェックし続けていると、なかなか充足した人間にはなれない。誰が何をやるのか、どっちが多くやるのか、そんなことばかり考えていると憂鬱になるだけだ。じつは、これこそが小さなことなのだ。ごみを出すのは誰の番かとあれこれ考えるより、自分でさっさと出して家族の責任を一つでも減らしてやった方がもっと人生は楽しくなる。
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私たちは人と話しながら頭では他のことを考えていたり、三つ四つのことを同時にやろうとする。一度に多くのことをやろうとすると、目の前のことに意識が集中しなくなる。そうなると、いましていることに楽しみが見出せないばかりか気が散って能率が上がらない。私は目の前のことに集中する癖をつけて以来、書いたり読んだり家の掃除や電話で話したりするといった生活のすべての技術が向上した。一度に一つのことしかしないと決めるだけでいい。
リラックスするとはどういうことか?この言葉を何千回も耳にしながら、その意味が本当に分かっている人はほとんどいない。私たちのほとんどは「やるべきこと」がなくなってからリラックスしようと考えている。人生の書類入れが空になることは絶対ないのに。
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作家でも何でも何かになるための最初のステップは、最大の批評家であるあなた自身を黙らせることだ。自分自身の限界を口にするのはたんなる癖で、もっと肯定的な考え方に変えられると知る必要がある。
人を批判するとき、その相手について何かを言っているわけではない。その人を批判したいという自分の気持ちを伝えているだけだ。それどころではない。批判したところで問題はひとつも解決されないばかりか、世の中に怒りと不信を撒き散らす。いいことはひとつもない。
人のあらばかり探すようでは穏やかな人生は望めない。冬に備えて家のひび割れや雨漏りする箇所を探すのは良いが、同じように厳しい目で人のアラや自分自身の人生のアラを探す人がいる。家のあらさがしは修繕するところを慎重に見定める作業だが、これを人に応用すると孤立するだけでなく、自分も嫌な気分になる。
すべてを完璧に成し遂げるのではなく、ストレスの少ない生き方をするのが目標だとしたら、ほとんどの戦いは穏やかな気分を吹き飛ばすものでしかないと気づくだろう。もっと平和な人生を送るには、戦いがいのある対象をきちんと見極めるしかない。小さなことにくよくよしたくなければ戦いを賢く選ぶのが先決だ。戦う必要をまるで感じなくなる日がきっとやってくる。
穏やかでリラックスしている人たちを観察すると、気分がいいときは感謝の気持ちで満たされているのがわかる。彼らは前向きな気分も否定的な気分も一過性だと良くわかっていて、落ち込みもやがては消えると知っている。幸せな人たちは、ときには落ち込むこともあるさと割り切ることができる。落ち込みに抵抗したり、パニックになったりせず、その感情を優雅に受け入れる。
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この世の全員に認められるのは不可能だという事実を受け入れる早ければ早いほど生きやすくなる。否定されることもあるという事実と戦わずにそれを受け入れれば、人生の旅に役立つ視点を身につけることができる。否定されたときは落ち込まずに「そんなこともあるさ」と思うようにする。そうすれば人に認められた時は快い驚きを覚えてそれに感謝するようになる。
人は自分が気分に支配されていることに気づかない。だから突然人生がしんどくなったりするのだ。気分が落ち込むと、生きるのがしんどいと感じる。客観性がほとんど消えてしまう。なんでも個人的に受けとめ、周りの人たちの言動に悪意を感じたりする。だが、人生は落ち込んだ時に感じるほどひどくはない。
同じ出来事にたいして他人が違う行動をとり、違う反応をするのが当たり前だと考えるようになると、自分自身や他人に対して思いもよらないほど共感できるようになる。そうすれば他人にたいする愛情と自分という唯一無二の人間を認める気持ちはいまよりずっと深まるだろう。
人生は思い通りにいかないもの、他人はあなたの都合通りに動いてはくれないもの、これが真実だ。あなたに反論する人、あなたと違うやり方をする人、いくらやってもうまくいかないことは人生につきものだ。この基本線に刃向かおうとすると、人生の大半を戦ってすごすことになる。
自分にはどうしていいのかわからないと認めること。余計なことを考えず、どうしていいのかわからないと認めることで、私たちはしばしば予想もしなかったようなその場にふさわしい優れた答えを導き出せる。
私たちは、自分の思考法に気づくことによって、思考をコントロールできるようになる。たとえば渋滞に巻き込まれたとき、わざわざイライラするようなことばかり考えている自分に気づくことができれば、別の考え方をすることによって穏やかな気分になれる。一つの考え方に囚われている限り、人生は変わらない。思考法を変えなければいけない。
いい聞き手になると忍耐強い人になれるだけではなく、人間関係の質も向上させられる。みんな自分の話を聞いてくれる人と話したがるものだ。いい聞き手とは、相手の話を途中で遮る癖を持たないだけではない。自分の番が来るのをイライラと待つのではなく、相手が言いたいことをすっかり話し終えるまで満足して聞き手にまわるということだ。
君もきっと、人生はそれ自体で完璧なことに気付くよ。
人生の目的は、すべてをやりとげることではなく、その一歩ずつの過程を愉しみながら、愛情のある暮らしを送ることにある。
成功は、あせらない人にやってくる。
「自分の思考法に気づく能力」が高まると、人生を直感的にとらえることができるようになり、考え方や感じ方、物事の受け止め方も自然と変化する。自分の考え方に気づくことさえできれば、すべてうまくいくのである。
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