茂木健一郎
1
走ることには、身体のコンディションが整ったり、より健康になったりといったメリットがある。さらに、走っている間に、脳がアイドリングして、特別な回路が活性化し、様々な記憶が整理されたり、ストレスが解消されたりといった効果もある。このような「ご利益」は、短い距離でも、あるいは歩いても得ることができるから、ぜひ試してほしい。例えば、仕事に行くときにひと駅前で降りて歩くというのでもいいのである。
0
仕事は、淡々と論理的に考え、こなせばいい。そうすれば、きっと遠くにいける。
学ぶことはオープンエンド。知識は無限。入試は、目の前の試練だが、それは始まりであって終わりではない。
いま日本では「裕福な親の子供しか、いい教育を受けられない」という教育格差が話題になっている。しかしインターネットは万人が平等にアクセスできるものだ。ということは、勉強するかどうかは本人のやる気次第。勉強しようという「志」があるかどうかである。
大切なことは「根拠のない自信」。きっとできる、と理由もなく信じて、挑戦し続けること。微笑みながら、根拠のない自信に支えられて、挑戦し続けること。そのことさえ忘れなければ、どんなに不確実な時代でも不安になることはない。胸の中から、希望が木もれ日のようにあふれ出るのだ。
9
習慣化させるということを難しく考えすぎなのです。たとえば何か勉強するにしても、最低でも30分はやらなければと考える人は多い。でも、5分でも1分でもいいんです。英単語を一つ覚えるなら1分でできますよね。1分やれば脳の活動としては十分。1分単位でものを考えると、ハードルが下がりやれることがたくさんあることに気づくでしょう。
ビジネスマンにとって必要な資質とはなんでしょう。受験時代までは記憶力が重視されてきました。多くの知識を詰め込み、必要に応じて引き出していく能力です。しかし、いまの時代、単なる情報ならコンピュータで検索収集できます。問題は、いかにして、その集めた情報をアウトプットしていけるか。どれだけそこに新たな付加価値を付け加えられるか。創造性がかつてないほど必要とされる時代になってきました。
「まとまった時間がなければ勉強できない」というのは幻想にすぎない。僕はいま、朝から晩までわずかな時間の隙間を縫って何かしら勉強するようにしているが、その結果、いまや瞬間的にフロー状態に入れるようになった。意識の切り替えが素早くできるおかげでストレスとも無縁である。
欠点は組み合わせによって、長所になる。
フロー状態で勉強せよ。最高に集中していて、しかもリラックスしている。勉強することが、蜜の味になる。そのような内的感覚をつかみ、毎日の勉強で実現するように心がけよ。
創造性を生み出すのに適した作業は、メタファー、つまり隠喩です。日本では、あまり日常的に用いられることはありませんが、欧米では会話においても文章においても、メタファーを駆使できるかどうかが、その人の創造性を判断する決め手となっています。発想を置き換える、その行為こそが創造性と大きく連動しています。
仕事の質について、「ゼロ」よりは何かの形がある方がいいと割り切る。形になれば、様々な人の意見も聞けるし、手助けをしてもらいやすい。
発想は、集中の後のリラックスの時に出る。
「朝起きられない」という人は、話を聞いてみるとほとんどの人が部屋を暗くしたまま起きている。これは良くないですね。まずは朝起きたら、部屋の明かりをつけるか外光を浴びる。できれば太陽の光がいいです。理由は太陽光の波長が脳の覚醒スイッチを入れるのに効果があるからです。脳は環境の変化に非常に敏感。朝、目を覚ましても部屋の中にいると、「これはまだ休んでいてもいいのかな」という判断をしてしまいます。反対に、外に出ると「もう朝だ。目を覚まさなきゃ」と脳が判断するので自然に目覚められるのです。
通勤電車の中で、あるいは注文した料理が出てくるまでの数分間でも、集中して知識を吸収しようと努める。ほんの2、3分でも、累積すればかなりのものになる。また、このようなスキマ時間の集中勉強法は、脳の特性にマッチした学習法でもある。なぜならインターバルをあけて何度もインプットを繰り返すことで、学んだことが記憶として定着しやすくなるからだ。
苦手なことが長所になり、得意なことが短所になることもある。そのような立体的な見方をしないと、人の個性はつかめない。
ビジネスにおいても、人生においても、「深掘りする」ことは大切。表面的に理解するだけでなくて、その対象の奥のほうにある、なかなか見えない「本質」を探求する。そのような経験をすることで、脳の認知や思考の機能が鍛えられる。
グーグルのCEOエリック・シュミットは、新規のアイデアを募るために、まずは人の意見を徹底的に聞き取るそうです。30人のアイデアを集めて、そこから取捨選択するのが、彼流の仕事術です。他者というフィルターを通過することで、隠されていた創造性の原石が発見されることは、よくあることです。
集中力は、生まれつきの性格などではない。集中に使われる回路は、筋肉と同じで鍛えることができる。最初はよろよろしていても、瞬間的に集中することを繰り返すことで、集中力の高い脳を作ることができる。
叱るのは、いつかほめるための準備。
茂木健一郎のすべての名言