曹操
1
危うきに乗じて、もって倖を求む。
0
唯才有らば、是れを挙げよ。
快楽に溺れる人生ほど、詰らない人生はない。
よろしい。天よ我に百難を与えよ。奸雄ならずとも必ず天下の一雄にはなってみせる。
2
天も地も目には見えぬが刻々と動いておる。この俺もあの群がる星の中のひとつよ。この偉大な天と地の間に生まれ、男たるもの生きがいのある生命をつかまないでどうする。曹操が曹操の生命を真につかむのはこれからよ。これからだぞ。
将たるものは、怯弱の時あるべし。ただに勇をたのむべからず。
しかし戦には機というものがある。その機を逃して勝利はありませんぞ。
しかしここで何ができましょう。良い土地に移り良い政治を行ってくだされ。
3
功なき臣を官せず、戦なき士を賞せず。
俺はお前が命をはって守っただけの男になってみせる。
私は、こうなることが、分かっていた。自分が聖人だから、というわけではない。ただ、天下のことを、経験してきたからだ。
さあ酒でも飲んで気持ちを大きく持ちなされ。
お前の首ひとつで三十万兵士の不平をしずめようというのだ。
将がうろたえれば部下はますます浮き足立ちますぞ。
君に事えてその本を忘れざるは、天下の義士なり。[解]君主に仕えてその本分を忘れないのは、さすがに天下の義士だ。
今、天下の英雄は、ただ使君の徒、数うるに足らず。
ここで酒を飲みぐちをこぼしていたら世の中が変わるとでも言われるのですか。
火事も小火程度なら消しやすい。
皆の者もう少しの辛抱だ。この山を越えると梅の林がある。
山は高きを厭わず海は深きを厭わず。[解]山はどんなに高くてもその高さをいやがることなく、海はどんなに深くてもその深さをいやがらず、いくらでも高く、また深くなろうとすることから、力のある者が人材を得て、いっそう強大になろうとする。
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