青野慶久
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諦めるというとネガティブに響くかもしれませんが、見方を変えれば、厳しい現実を受け入れる能力があるということ。
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予想できなかった事態で仕事が行き詰ってしまった場合、私は関係する社員やクライアントにすぐに聞いてしまいます。すると、なんだ、そうだったのかとすぐに解決することは少なくないんです。しかし、それがなかなかできないという人が多い。「自分で何とかしよう」と思っているうちに、どんどんドツボにはまるわけです。
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僕がよく言うのは「アホはいいけど、ウソはダメ」。もし寝坊をしても、それはアホだから仕方がない。でも、寝坊したことを隠して「体調が悪くて」などとウソをつくのはダメ。僕自身、寝坊をして飛行機に乗り遅れ、海外出張から戻れなくなったことがありますが、そのときは素直に皆の前で「すみません、寝坊しました」と謝りました。
会議資料やメールなどでちゃんとした文章を考える時間がなかったら、思いきって箇条書き中心でポイントだけまとめる。図表なども、プレゼンテーションソフトを使ってきれいにつくらなくてもいい。会議当日にホワイトボードにササッと手描きしても、言いたいことは十分伝わりますよね。「こうしなければいけない」と思い込んでいるだけで、じつは品質を落としても問題がない場面は結構あるはずです。
私は、何かを計画する際に、あえてその計画が失敗する場面をイメージしています。普通は、「どうやったら成功するか」と考えるものだと思いますが、逆に、「失敗するとしたら、どんな原因があるか」と考えることで、行き詰りそうなポイントがクリアに見えてくるのです。そこで前もって、ウィークポイントを手当てしておけば、仕事の停滞をかなり防止できます。
仕事が速い人というのは、仕事の仕方が「ツイッター的」。つまり、少量のアウトプットを細かく出すことで、他人をうまく巻き込むんです。このやり方だと、相手とやりとりをする時間はかかりますが、見当違いのものをつくってしまう危険は減ります。結果的に大幅な時間ロスを防げるわけです。
人の作業スピードというのは、そんなに速くなるものではないと思います。タイムマネジメントといっても、睡眠時間を半分にするわけにはいかない。努力しても別人のように頭が賢くなるわけでもない。100m走の記録を14秒から13秒に縮めるのはたいへんですが、スピードは一割もアップしていないでしょう?一方、他人を巻き込んだ場合の効果はもっと劇的です。まったくデジタル機器に詳しくないのに、「スマートフォンを業務に活用するアイデアを出してくれ」といわれたとします。自力で勉強してなんとかしようと思ったら最低数日は必要ですが、ガジェットマニアの友人に「何かいいアイデアない?」と尋ねれば数分です。100倍とか1000倍のスピードアップが簡単にできてしまうわけですね。
仕事をたくさん抱えてしまって身動きが取れない人は実際多いと思います。部下がそういう状況に陥っているとき、私はあえて「仕事の品質を落とせ」といいます。一見、暴論のようですが、根性論を捨ててロジカルに考えれば、そう考えざるを得ません。いままで3時間かけていた仕事を1時間でやらなければならないとなったら、質を下げるしかありません。無理してクオリティを維持しようとすれば、期限までに終わらなかったという最悪の結果にもなりかねません。そうならないために、品質を下げるという選択肢もありうることは、ちゃんと認識しておいた方がいいと思います。
これはメールに限らないことですが、大事なのは内容であって、形ではないと思うのです。要点さえきちんとおさえてあれば、形式が簡便であっても、それは問題にはならないはずです。逆に形式を簡単にすることで、かえって内容が充実する場合もあると思います。
仕事の方向性を早い段階で上司に確認するときは、少量のアウトプットでいいんです。極端な話、思ったことをひと言口に出してくれるだけでもいい。質問の形にすれば、なお良しですね。たとえば、「次の新製品の狙いはこんな感じですかね?」とか。そう聞かれたらこっちも「いや、そうじゃなくて」と乗り出さざるを得ないじゃないですか。質問には、「相手の考えを誘発する」「問題に相手を巻き込む」という力があるんです。
私は意志が強いほうではないので、ネット閲覧をダラダラしてしまうことを防止するための秘策を用意しています。データを分散させると面倒ということもあって、私が使っているパソコンはノート型一台だけなんです。だから、「いま俺はネットにハマっている。こういう「緊急離脱」の技をもっておくといいと思います。
時間に追われている人は、余計な仕事を増やしているのと同時に、丁寧にやりすぎているというケースも考えられます。限られた時間をやりくりしようと思ったら、あえて質を下げる勇気をもって、簡単な形で済ませることも必要ではないかと思います。
「一週間後までに新製品の企画書を出して」と指示を出すとします。すると、ずーっと一人で一生懸命考えてしまう人がいます。一週間後には分厚い企画書がドン、と出てくるんですが、読んでみると「ごめん、これは僕がほしかったものとちゃう……」ということが結構多い。これだと一週間を丸々ロスしてしまいます。こちらの指示が曖昧だったせいかもしれないのですが、だからこそ、頼んだ直後に、まずは手書きの企画メモでもいいからもってきてほしい。「こんな感じですか?」と聞いてくれれば、「いやいや、そうじゃなくて」とすぐに修正できるでしょう。
時間に余裕を持てるようになったのは、発想の転換をしたからです。「やるべき仕事を探す」のではなく、「やらなくていい仕事」を探すようにしたんです。
私のストレス解消法はバットの素振りです。ストレス解消法には、「やっている最中に無心になれること」を選ぶことが大事です。
仕事が最もはかどる時間帯は日によって違い、その日になってみないとわかりません。ただ、調子が出ないときは、外に出て歩く。そうすると、頭の回転がよくなります。
世の中の常識とされていることでも、それが本当に正しいことなのか一度疑ってみた方がいいでしょう。固定観念によって「事実」と、自分の「解釈」を履き違えている可能性を考えてみるべきです。
睡眠不足だと頭が働かないため、重大な判断を迫られる局面ではとくにしっかりと睡眠をとることが大切です。
「今、当社はこんな状態だ」「有望な市場がある」「何かいいアイデアないか」などと、まず課題や状況を皆で「共有」する。それにメンバーが「共感」する。そしてメンバーが活動に「参画」していく。この流れをつくることが大切です。実際、ユーザー企業の多くが、こうした流れを企業活動のイノベーションにつなげることで、躍進を果たしています。
私はそもそも、やる気を出そうとは思いません。それよりも、「やろうと決めたことをつねに思い出す」ことが大事だと思います。自分の場合には「サイボウズをグループウェアで世界一の会社にする」と決めたので、いつもその目標を思い出すようにしています。
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