羽生善治
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毎回石橋を叩いていたら、勢いも流れも絶対つかめない。
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この先どうなるか、どう行動するかということは、そんなに深くは考えていません。ただ、そのときそのときの情勢に合わせていこうとは思っています。将棋のスタイルにしても、将棋界の情勢に合わせて変えていこうと思っています。とくに、いまからこうしようという考えはありません。
将棋にはさまざまな種類の駒があって、それぞれが違う動きを持っている。
じたばたしても、あとの人たちがどう見るのか、影響を与えることはできませんから。
ちょっと疲れているぐらいのときのほうが感覚は研ぎ澄まされている。
大局観を失って全体が見えていないと、直感は上手く働きません。逆に、いまどういう状況で、これからの局面はどちらに向かってどのように展開していくのかということがつかめれば、指し手は自ずから見えてくるものなのです。
負けた時には、何が悪かったのか。どこに問題があったのか。自分なりに総括し、必ず反省と検証をします。ただいったん終わったら、あとは過ぎ去ってしまったこととして、次に向かっていく。
ゆっくり行ったほうが楽しいものが見えるんじゃないか。
役に立たないとか、意味がないと思っていることの方が、むしろ重要なんじゃないか。
守ろう、守ろうとすると後ろ向きになる。守りたければ、攻めなければいけない。
温存しとこうとか、あとで使おうというのはダメで、今持っている力は早く使い切ったほうがいい。
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棋士の生活はマラソンに似ています。一般に、競技生活が長いですから。私はプロになって26年目ですが、「まだあと30年あります」といわれたら、気持ちが萎えてしまいます。あまり先のことまで考えると、道のりが途方もなさすぎて辞めたくなる。むしろ「とりあえず1キロ走ろう」という気持ちでやっていくほうが、自然に続けられるのではないでしょうか。
将棋の世界でもソフトが強くなってきています。人間の棋士が朝から晩まで長時間の試合を毎日続けるのは不可能でも、コンピューターだとそれができてしまうんですね。ですから私が今、考えているのは、膨大なデータの中から機械が見つけ出した特徴を、人が学ぶことができないかということです。
だらしない手を指してはいけない。とにかく前へ出る。
もうこれ以上はやれないというところまでやれば、本番ではいい意味で開き直れる。
メンタル面で切り替えなければならない時には、気分転換するようにしています。髪形を変えたり、部屋の模様替えをしたりして、何かしら生活にアクセントをつける。部屋の片づけをしたりもします。
これから機械がどんどん賢くなるのは目に見えているので、人間の知能も同時に上がっていかなければ、社会に導入する際に何らかのひずみが生じてしまうことになりますよね。だから、人間がより賢くなるためにAIの力を使うことができればすごくいいなと。AIを脅威に感じている人も多くいるでしょうが、そう考えれば怖くなくなるかもしれませんね。
これ以上集中すると「もうもとに戻れなくなってしまうのでは」とゾッとするような恐怖感に襲われることもある。
頭のなかの将棋盤をひっくり返して相手の立場に立って眺めてみたりもする。
簡単な達成感でも積み重ねることによって自信がついてくる。
羽生善治のすべての名言