羽生善治
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プレッシャーは、その人の持っている器に対してかかるものだ。器が大きければ、プレッシャーを感じることがない筈だと、自分に言い聞かせています。
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イメージが浮かぶのは、序盤と終盤である。浮かんでしまえば、あとは中盤でその間のつじつまを合わせればいい。
欠点を裏返すと、それがその人の一番の長所であったりする。
感性を研ぎすます秘訣は、ほかのジャンルの人と積極的に話し、聞くこと。
負けた時には絶対に原因があります。必ず自分自身のなかにミスがあります。
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「絶好調!」と口にしている人は自分に暗示をかけているのではないか。
私は才能は一瞬のひらめきだと思っていた。
今更、気張っても何とかなるわけでもないので。普通に、自然にやってどうなるか、ですね。
巡り合わせのようなものもありますし、負けは結果ですから。チャンスがあればまた頑張ります。
まったく新しい戦法が現われたときに「こういう新しい戦法が出てきたときには、一生懸命研究すれば、半年ぐらいで理解できるようになるかな」「このテーマなら理解に一年はかかるな」といった目星をつけられるようになりました。これは過去に何かを成し遂げたときの「経験の物差し」があるからです。そうすると、少なくとも目星をつけた一年なり、三年なりのあいだは、不安にならずにやるべきことに邁進できます。
情報量が増えると判断の精度も上がるとは一概には言えません。たしかに昔に比べれば知識や情報が入手しやすくなって、それが若手の棋士のレベルアップにつながっているという側面はあります。しかし、知識や情報が増えるというのは、それだけ迷ったり悩んだりする材料も増すのだということを忘れてはいけません。どんなに最新の定跡や戦法を知っていても、勝負所で判断ミスを犯せば、その人は負けてしまいます。
山ほどある情報から、自分に必要な情報を得るには、「選ぶ」より「いかに捨てるか」の方が、重要なことだと思います。
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私は、対局が終わったら、その日のうちに勝因、敗因の結論を出す。
将棋の世界での流行の最先端をつくっているのは、20歳前後のプロになっているかいないかくらいの人たちのアイデアから生まれていることが非常に多い。だから若い世代に対しては、育成というよりむしろ学ぶことがあります。
将棋とは「粘土」のようなものーどんなものにも形を変えられる。
「真似」から「理解」へのステップは想像力を培う基礎力になる。
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人間の埋もれている力を見いだせた人や発掘できた人たちを「天才」と呼ぶのではないでしょうか。
20代には20代にしかできない将棋がある。
いかにして早く気持ちを切り替えるか、それが大事。終わったら、次の対局や次の目標、あるいは次の課題について考える。
将棋でも、心や体の状態と判断力は密接に関係しています。私の場合、バロメーターは、答えを見つけることが時間的な制約があって難しいときに、踏ん切りよく手が選べるかどうか。思い切って選べる日は調子がよくて、逆に迷ったりためらう場面が多い日は心や体の状態がよくなかったりします。
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