羽生善治
1
感情の起伏を完全になくすのは難しい気がしますが、感情が揺らいだときに自分なりに折り合いをつけることは大事なことでしょう。
私は「どんなことでもリスクのない状態はない」と考えています。現代は様々なリスクが定量化されているので、必要以上に数値にとらわれると臆病になってリスクが取れなくなります。でも、リスクのない状態はないと開き直ってしまえば、リスクをとることにためらいがなくなります。
0
将棋に限らず何事でも発見が続くことが楽しさ、おもしろさ、幸せを継続させてくれる。
師匠は特に教えてくれないんです。ほとんど技術的なことは全くといっていいほど教えてくれません。すべて自分で考えて自分に合った勉強方法を見つけるという感じです。どういう勉強方法をとるのかはそれぞれで、レベルによっても違い、また、その人に合った方法が必ずしもほかの人に合うとは限りませんからね。
「いかに戦うか」は、大局観にかかわるが、その具体的な戦略は事前研究が決め手になる。事前にしっかり準備して、万全の態勢で対局に臨んでくる人は強い。
将棋の水準は日進月歩でレベルアップしていますから、最低限求められる基礎を抑えるために、かなりの時間を割かなくてはいけないのも事実です。
40代は、自分がこれまで蓄積してきたことを、具現化していくのにとてもいい時期だと思います。
優位のほうは慎重になり、悪いほうは開き直っているから逆転しやすい。
真剣にその道を究めようとか、その道ひと筋でやっていこうという人は一種の狂気の世界というか、何かそういう線を越えないと、その先が見えないような気がします。
3
時間の経過とともに生じるズレを自覚していかに調整して自分に合わせていくか。
漠然とした不安は、立ち止まらないことで払拭される。精神的プレッシャーには、開き直りで立ち向かう。
信用とはその人に対する期待値。
本当に将棋の序盤が変わったのは、七冠を獲った後のことですから。藤井システムとかが出始めて、2000年くらいですかね。凄く大きく変わったのは。私が七冠を獲った96年頃は、序盤が変わったといっても、その後の変化から見たら、大したことじゃなかったんですよね。
いくら情報が溢れていても、創造の基本となるのはゼロからの視点です。私も棋譜検索を使っていますが、必要以上にデータに頼らず、自分で考え抜いた方が、新しいことを思いつきやすいという経験則があります。効率は悪いですが、長い目で見ると自分にとってプラスになります。
失敗覚悟でトライする必要があります。実戦でトライすることで、その戦型の可能性や修正点、あるいは「こういう手もあるんじゃないか」という新しい発想が生まれてくる源にもなります。失敗が自分を成長させるための糧となるんです。ですから、頭の中であれこれ考えるよりは、まず試してみることが大切です。
仕事の醍醐味とは情熱を持続すること。結果ではなく内容からおもしろさを発見すること。誇りと責任を持つこと。
直感には邪念の入りようがない。長く考えると言うのは、道に迷っている状態なんですね。「勝ちたい」とか余計な思考も入ってくる。だから、いくら考えても分からない時は、最初に戻って直感にゆだねることが、よくあります。
努力をしている人の側にいると、自然にいい影響が受けられるだろう。
将棋というのは大海原のような世界ですね。指していると、人間の小ささを感じる。
気力がしぼまないポジションをキープしていないと逆転はできない。
羽生善治のすべての名言