羽生善治
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自分自身を裏切らない努力の姿勢が、未来の結果として現れてくる。
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集中力がある子に育てようとするのではなく、本当に好きなこと、興味を持てること、打ち込めるものが見つけられる環境を与えてやることが大切だ。
難しい問題に対して、わからないと思いながら考え続けた根気。ずっと我慢して費やした時間。そうしたことがプロとして育っていくことを助けたのではないか。
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人生は食事をして眠るだけのくり返しではない。「こういうことができた」「こういうことを考えた」という部分がある。
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遠回りしながらも、もがいて身につけたものの方が、簡単に得たものよりも後々まで役立ちます。
波はつくれないが、乗ることはできる。
どれだけ楽しいかが集中力の持続へとつながります。
プロ同士の対局では、5手先だって読めません。手堅くいこうと思っても、相手が思わぬ手を指してきて、あっという間にピンチになることもあるし、技をかけようとすれば、すぐ見抜かれて逆にこっちがかけられてしまいます。予定通りにいかないのは、将棋にかぎらずどの世界でも同じことだと思います。
直感は便利で使い勝手のいいものではあるのですが、あまりに頼りすぎるのは危険です。いいところは突いているけれど、正確さに欠ける、ということになってしまいますから。本当はロジックと直感の両方を伸ばしていくのがいいのでしょうが、このふたつは「片方を伸ばすと、もう片方が疎かになる」という関係にある気がします。「最近、直感が冴えてきたな」と思うと、読みが雑になる。そのあたりをどうコントロールするかは、私も悩ましいところですね。
玉石混交な情報の山から情報を取捨選択するときは、これは使える、使えないと見極めるしかありません。ただ、そのときに大切なのは、情報にあたるときにその都度自分で判断しながら新しい発想を生み出すように意識することです。また、選んだあとに反省しても後悔しないことが大切です。選択肢が多ければ多いほど、選ばなかった選択肢の方がよかったと後悔しがちだからです。
山ほどある情報から、自分に必要な情報を得るには、「選ぶ」より「いかに捨てるか」の方が、重要なことだと思います。
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将棋の世界での流行の最先端をつくっているのは、20歳前後のプロになっているかいないかくらいの人たちのアイデアから生まれていることが非常に多い。だから若い世代に対しては、育成というよりむしろ学ぶことがあります。
将棋とは「粘土」のようなものーどんなものにも形を変えられる。
棋譜にどれだけの深みを持たせることができるか。どれだけ美しい手順を見つけることができるか。
これは掘り下げる余地がありそうだと感じれば、信念を持って、研究を進めていきます。
直感は天性のものなのか、環境で育まれるものなのか、私にはよくわかりません。ただ、後から努力の積み重ねで磨かれるものではあると思います。
私は、対局が終わったら、その日のうちに勝因、敗因の結論を出す。
机上の理論や研究だけでは見えてこない部分。それは実戦を通して身につけていくしかない。
棋士は決して逸脱できない法律のなかで、建物を造りなさいと言われているようなもの。
これだけ長くやっていても、将棋の可能性はまだまだあるんだなというのは、実感としてあります。例えば、20年も研究されているのにいまだに結論が出ない形があって、まだ何もわかっていないんだと愕然とするってことは、よくあるんで。そういう部分を模索していくということもあるし。そこに対局という勝負もついていて、当然、結果を求めていく気持ちもありますけど。
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