出口治明
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普段、私が経営判断をするうえでもっとも参考にしているのは、モンゴル帝国の皇帝クビライです。ヨーロッパでは十字軍や異端審問が行なわれていた時代に、彼は思想・信条・宗教と政治を切り離していました。首都・大都の設計をムスリムの技術者に任せたことが好例です。この例にかぎらず、彼は中国人やペルシャ人、アラブ人など、さまざまな国・地域から優秀な人材を登用しています。徹底的に合理的なのです。いってみれば、ダイバーシティの先駆けですね。経営判断をするときには、社会の常識に囚われていないだろうか、クビライのように合理的に判断できているだろうか、とつねに自分を顧みています。
数字に対する感覚は、見るだけではなく、自分で数字をつくらなければ磨かれません。自分が所属するセクションの予算や売上目標など、取り扱う数字はなんでもいい。1年間の売上目標に対して、1人あたりどれくらい売る必要があるか、といったように計算してみる。上から与えられた数字を「はい、やります」じゃなくて、自分でつくってみるのです。
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まず、質・量ともにその人の能力に見合った仕事を与えているかどうかを考えてみてください。部下の能力、やりたいことをきちんと理解して、仕事に打ち込める環境をつくることがマネジメントの基本です。
行動するには心の底から納得する「腹落ち」が必要です。頭でわかった気になったくらいでは、行動にはつながらないのです。
人間が学べる事は全て過去。だが、その方が生き残りやすい。
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コミュ二ケーションの要諦は、「あくまで上司から部下へ」です。
リーダーというのは、「わからないことを決められる人」の事です。
異質な人間を多く揃えないと経営は良くならないし、健全なビジネスにならない。
反対する方は企画の甘いところをついてくる。だから、反論できないように「数字・ファクト・ロジック」の精度を上げておくことがまず大事。わざと突っ込みどころをつくっておいて、突かれたら「素晴らしいご指摘ですね」と徐々に論破していく戦法もあります。
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ビジネスの世界でも、トレードオフという概念に慣れていない人によく出くわします。A案にもいいところがあるが、B案も悪くない、かといってC案も捨てるのは惜しい…と悩んだ挙句、決断を先送りしてしまう。そういう人は、何かを決めることは、何かを捨てることであり、両者はトレードオフの関係にあるということがわかっていない。あるいはトレードオフを引き受ける覚悟がないのです。何かを取れば何かを失う。決して「いいとこ取り」はできないのです。これを思考の軸に加えておくことで、決断は確実に速まります。
少子高齢化が進んでいる日本では、今後、労働力が不足するのは周知の事実です。こういう状況で、定年制があること自体おかしいのではないでしょうか。時代が変化しているのに定年制を維持している。この点だけに限りませんが、日本企業の多くは従来のやり方を後生大事にして何も変えない。その結果、競争力が低下して株価も低迷しているのだと思います。
21世紀の私たちは、いわば「海図のない航海」に出ているのです。絶対的なモデルがないから、どうしたらいいかは自分の頭で考えるしかない。
ビジネスのほとんどは基本「儲かるかどうか」で合理的に答えが出るもの。
自己主張が強い人は、同じ自己主張が強い人には弱い。逆に奴隷状態の人には強い。
会社の経営には「タテ・ヨコ思考」が一番大事だと思います。タテ思考とは、10年前に比べて成長率はどうなっているかを見るという時間軸での発想です。しかし、売上が伸びていることだけで満足したらダメです。同業などと比較するヨコ思考も必要で、業界内のシェアも見ないといけません。「タテ・ヨコ思考」はいろいろな場面で応用できるのでお勧めです。
情報を整理するということは、言葉にすること。自分が取り出しやすくするために言語化する。
「ゆとり世代」という見方にも問題がある。人間は世代に関係なく、みんなが個性的でそれぞれ違う。ステレオタイプで人を捉えるべきではありません。
読書でとくにお勧めしたいのは、古典を読むことです。古典は長いあいだマーケットで評価されて残っている本です。長く評価され続けているのは、いいことが書いてあるから。僕はいつもいっていますが、いま売れているビジネス書を10冊読むなら、古典を1冊読むほうが役に立ちます。
人目や他人の評価を気にせず、自分に正直であればそれで十分、仕事は3割でどうでもいいことだ。
仕事の方がずっと大切で、それはパートナー、家族、友人だ。
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出口治明のすべての名言