宗次徳二
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店のチェックのとき、店長がほかのお客様よりも、私に先にカレーを持ってきたことがあります。私は厳しく怒りました。お客様が第一。私に気を使ったりするような、間違った判断はいりません。
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儲けたい、成功したい、という気持ちはありませんでした。ただ人に喜んでもらいたかったんです。
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1日として同じ日はない。たった1日でも完璧に運営するのは困難なのですから。しかし、それを目指して努力を続けることはできるはずです。
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一人一人、求めるものは違います。だから、とにかくがむしゃらに仕事をしたいという人には、年俸制を採用して高給で働いてもらう。プライベートを大切にしたいという人には時短勤務を適用するなど、可能な限り、「その人にとってのナンバーワン」の待遇を実現したいと思って取り組んできました。
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最初はみんな自信満々ですが、実際に一歩を踏み出すと、厳しいことはかり。本当のスタートはそこからです。その時期を耐え、値引きなどの妥協をせず、真心を込めて勝負する。歯を食いしばって続けたら2年で薄明かりが見えてきます。自分のやり方は間違ってないぞ、と。で、5年で地域の繁盛店になって、8年で地域ナンバーワン。そんなイメージがいいと思います。急がず愚直に続ければ、誰にでも成功する可能性はある。
他店のことを考えるよりも、自分たちの商売に徹するのがうちのやり方です。大切なのはお客さまが何を欲しているのか。私は常にそれだけを考えてきました。自分たちの考えが正しいかどうかを教えてくれるのはお客さまだけだと思っています。
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何よりもまず、「お客様第一主義」ですね。自分たちのことは二の次で、お客様に身を捧げる。
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カレーの作り方も最初は教えていただきました。でももっと良い店にしよう、もっとお客様に喜んでもらおうと考え続けていく。これは誰かから教わるものではありません。その結果、目の前の達成可能な目標を達成し続けて、右肩上がりで成長を続けることになりました。
お客様が満足する経営にゴールはない。
店舗を巡回するときは、私はクルマの中で社員やメイトさんの名簿に目を通してから店に入ることにしています。名簿には社員さんの顔写真や入社日が記載されています。それを確認してから声をかけるのと、名前もわからず「おい、キミ」と呼びかけるのでは、やはり受け止め方が違う。社員としては当然名前で呼ばれた方が嬉しいですよね。
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とにかく褒めて社員を伸ばすという考え方もあるかもしれませんが、褒めるに値しないことまでわざとらしく褒めると、言葉が軽くなって効果がなくなる気がします。私の場合は、7対3で注意や指導の方が多い。叱るべきときは叱る、褒めるべきときは褒めると素直に考えていたら、自然とこのくらいのバランスに落ち着くようです。
経営者にとっては、右肩上がりの経営を継続することが全てだと思います。会社が増収増益を続けていれば、人材採用、社員教育、モチベーションなど、どんな問題もほとんど解決できます。もちろん、自分が信じたやり方からブレる事なく会社経営に身を捧げ、嫌なこと、厳しいことに率先して立ち向かう姿勢は必須として。売り上げのグラフがずっと右肩上がりなら、「ここで頑張れば何年か後には幹部になれそうだ」と、みんな頑張りますよね。
私は現役時代、趣味も持たず、友人もつくりませんでした。飲み屋に行ったこともありません。仕事の邪魔になることは、何ひとつやりませんでした。年間5640時間働くこともありました。そうやって率先垂範しないと、部下は働いてくれないと思ったからです。
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一日ずつ、一月ずつ、目の前のお客さまに対して一生懸命にサービスをすること。ただ、それだけのことでした。
私は思いつき派の人間で、思いつくとすぐに実行する。
カレー専門店「CoCo壱番屋」をオープンしましたが、最初からチェーン展開しようと思っていたわけではありません。ただ、目標を決め、コツコツとひたむきにやり続けたことが、結果としてギネスブック認定の世界一のチェーン店をつくることにつながりました。
休憩室での雑談も大事です。仕事の話をするだけでなく、普段興味のあることなどを話題にして、その社員を大事な仲間として理解しようとする。心のこもっていない褒め言葉より、こうしたコミュニケーションを積み重ねた方が、ずっと社員のやる気につながると思っています。
1人でも多くのお客様においしいカレーを届けたい、たくさんの人に雇用の機会をつくりたいと思うと、多店舗展開は必須ですよね。それに、今年も去年と同じだとつまらない。毎期、前期より高い目標をしっかり設定し、必達し続ける。そうしたら自然と右肩上がりのグラフになっていったんですよ。急いで大成功を目指すのではなく、コツコツと積み上げる。ひたすら心を込めて汗をかくことは、本気でやろうと思えば誰にでもできることですからね。
一度指摘したから、と指導を一回で終わらせないことも大事です。ココイチの社員はたいてい素直ですから、注意すれば「次は気をつけます」と返事をします。しかし1か月後にその店舗を訪問すると、また元の状態に戻ってしまっている。悪意があってそうしているわけではありません。人は繰り返し指摘されないと忘れてしまう生き物です。「何度言ったらわかるんだ」と怒っても、あまり意味がありません。きちんと定着するまで、指導する側は粘り強く教えていくべきです。
サービスはお客様の身になって、洞察力を働かせることです。大声で「らっしゃい!」とか「ありがとうございまーす」とか声を張り上げることではありません。うちは町の食堂ですから、会釈でいいし、挨拶に大声はいりません。大声よりも、心を込めて、ありがとうございますと言えばいいのです。
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