宗次徳二
0
困っている人がいたら、手を差し伸べる。助けられた人に感謝の気持ちが育ち、自分もできることをしようと思う。そういう輪が広がっていけば、社会は変わります。それには時間がかかります。先延ばしは不要です。すぐに始めてください。
10
経営者は才能がなければ、努力することで成功できる。
ごちそうといえば、煮干だったんです。
1
私は3歳まで児童養護施設で育ち、その後、兵庫県の養父母に引き取られました。でも、父はギャンブルに明け暮れ、それに愛想を尽かした母は夜逃げ。それからは父と2人、廃嘘のような家を転々とし、まさに飲まず食わずの日々です。長いこと電気が引けず、夜はろうそくをつけて過ごしていました。あまりにお腹がすぐと、雑草をむしって食べたりね。父が食べられると教えてくれた、イタドリという草です。今でも年に1度だけ、口にするようにしています。
店舗の駐車場は営業日報では上がってこない情報の宝庫です。販促用ののぼりはきちんと立てられているか。店舗周辺で、雑草が生えていないか。それらは、「これくらいならいいか」と見過ごされがちな小さなことですが、細かな部分に気を配れない店舗では、結局、それがお客様へのサービスにも表れてしまいます。こうしたことを指導しようとするなら、現場に足を運ばないとダメなのです。
人生をマイナスから出発したと考えれば、あとは右肩上がりのプラスで行くしかない。
家庭訪問も断った。4畳半の貧乏生活を学校の先生に見られるのが嫌だったんです。
9
経営者は事業活動で利益を上げ、共に働く人たちの生活を守ることこそが使命です。しかし、そうして集まったお金は、当人だけのものではありません。社会から一時預かりしている分を、いかに社会に役立たせるか。利益の上げ方と同様、「お金の使い方」もまた経営者に求められる素養だと思います。
経営者のもとには、現場から毎日たくさんの情報が寄せられます。私もオフィスでは営業日報に目を通し、移動中には、店舗や営業所の朝礼や会議の様子を録音したテープを聴いていました。ただ、それは人の手で一度加工されたものであり、その過程で抜けや漏れが生じる可能性を否定できません。現場のありのままの姿を知りたいなら、自分の目で見ることが一番です。だから現場に通うのです。
23歳で独立し、不動産仲介業を始めたのですが、意外と暇でしてね。すると社交的な私の妻が、日銭を稼げる商売をやりたいと、喫茶店を開業したんです。オープン日に手伝いに行ったのですが、たくさんのお客様が来店される光景を見て、驚きました。不動産業は年に数件受注すればいい「待ち」の仕事、一方、飲食業は1日にできるだけ多くの人を集める仕事。絶対にこっちのほうが面白い、自分に合っていると方向転換して、すぐに不動産業は廃業しました。そんな経緯で、25歳から飲食業経営にのめり込むことになるのです。
私が、若いビジネスマンの方たちにアドバイスできることがふたつあります。どちらも即効性はありません。やり続けることが前提です。それは、「早起き」と「掃除」をすることです。朝早く起きて、自分の仕事場の周辺をなるべく広く掃除するのです。仕事場の中だけじゃダメです。そうやって汗を流していると、他人から姿勢を評価され、信用につながります。損得や打算を考えてはいけません。雨の日も用事のある日も休まずに掃除するのです。私は雨の日とか台風、それから体がだるい、熱っぽいという日こそ燃えました。よーし、今日はいつもより長い時間掃除をするぞと。
お客様の気持ち、感情がつかめれば、それに対応したサービスができます。私の場合は毎日必ず、アンケート葉書をじっくりと読んでいました。いまでは1か月に6万通から7万通のアンケート葉書が届きます。「従業員に無視された」「注文を取りに来るのが遅かった」「従業員が私語ばかりしていた」「カレーの温度がぬるい」などなど。私は苦情の葉書はコピーして、余白に「至急、善処してください」と書きこんでから、苦情のあった店にFAXしました。
うちでは、時間のかかるカツカレーを注文した方がイライラしているようなそぶりをしたら、その方に代わって、従業員が厨房に、「カウンターの方のカツカレーはまだですか?」と聞くようにしています。そうすれば、待っている方は、「ああ、自分のことを忘れていないんだな」と思えます。
19
貧乏で弁当を持っていくことができずに、みんなが昼ごはんを食べ終わるまで、校舎の裏で一人じっと待っていることもありました。
13
人脈を広げるパーティーや懇親を深めるゴルフに行く時間があったら、自ら現場に足を運び、目を凝らし、耳を傾け、現場の空気を直に感じるべきです。
14
実際に店に行って接客をチェックするとき提供時間を見ます。注文してから、カレーがお客様に届くまでの時間を私はストップウォッチで計測します。揚げたものが付かないカレーの場合は再加熱の時間を含めて、速やかに提供するようにしています。
どんなに計画を立てても、大小様々な予想外のことが起こり、予定通りに事は運ばない。その都度、対処するしかない。つまり、「日々一所懸命に、超お客様第一主義で頑張り続ける」姿勢こそが経営には求められます。
6
叱るのは、「この人なら叱られたことを自分の成長につなげてくれるはず」という期待があるからです。そうでなければ、こちらも思い切って叱れない。真っ先に叱られるのは、むしろ将来有望な証拠なのです。実際、私がココイチを託した現在の社長は、若いときによく叱られていました。叱られる人ほどよく出世する。そう考えると、叱られたことも前向きにとらえられるのではないでしょうか。
人の役に立ち、人を喜ばせることは究極の贅沢。
15
CoCo壱番屋1号店をオープンし、引退するまで、「どうしたら、もっとお客様に喜んでいただけるか」だけを考えてきました。おかげさまで2004年には1000店を超え、多くのお客様に「ココイチ」のカレーを楽しんでいただいています。
4
宗次徳二のすべての名言