加賀見俊夫
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必要なことは、常に進化していかなければならないということです。当社のビジネスは人に喜び・安らぎを与えるものです。ホッとする瞬間を与えることが基本にあります。常に道を制しながら新しいものをどう取り入れていくかです。
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年間3000万人規模のゲストが来園する中では、賛辞だけではなく、いわゆるクレームに相当するご意見も年1万件ほど頂きます。このうちキャストの対応などに関する意見が約半分です。これを十分と見るか、むしろ少ないと見るかは人それぞれかもしれませんが、この意見の裏に、直接ご意見を申されなくても、同じ思いをされている方が数多くいると私は考えています。
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課題を乗り越えるために必要なのは、「もう、やるしかない」という想いではないでしょうか。そのビジネスにどれだけ心を打ち込めるかです。
伸びる人材とは、やはりトラブルを率先して自分が解決しようという意識を持っている人ですね。こういったトラブルから逃げてはいけない。
大勢のゲストに親しまれたエレクトリカルパレードも、導入から5~6年経過すると、「もっと顧客満足度を高めるにはどうすべきか」「コンテンツそのものを抜本的に見直す時期に差し掛かっているのではないか」という議論が自然にわき起こってきました。現状に満足せず、コンテンツの中身を常に見直していく。そんな東京ディズニーランドのカルチャーが最もよく表れたケースだと言えるでしょう。
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高橋な方でしたが、その本質にはすごいハートがありました。もちろん、仕事でガンガン怒るときもありましたが、基本的には優しい人。ですから相手から信用されると、自分ものめり込んでいく人でした。それでいて決してエリート面しない。漁業交渉で何度か高橋さんについて行ったことがあるのですが、高橋さんは漁師の人と交渉するとき、学校の話は一切しませんでした。そうやって相手の懐に入っていったのです。
若いときの失敗の経験は、心の糧になる。失敗を恐れないで火中の栗を拾い、率先して解決することにチャレンジして欲しい。
もともと私は出世にこだわっていませんでしたので、同期に比べて出世するのも遅かったのですが、歯がゆさなどを感じることはありませんでした。むしろ、自分がやるべきことが決まったら、その原理原則を理解しようと、とことん突きつめました。ですから、オリエンタルランドに出向しても腐っている暇はなく、その時々の仕事に関わる資格の勉強をして、結果的には7~8個の資格を取得しました。
東京ディズニーランドの30周年となる2014年3月期は、おかげさまで3000万人を超えるゲストが来園される見込みです。ただ、アニバーサリーイヤーの翌年は反動が出るもの。3000万人というゲスト数に慢心して、これを基に事業計画を描いては過大投資になりかねません。
日本人の関心は、本当にモノから心へと変わってきました。これをどう、お客様が満足していただけることに結び付けられるかが大きい。
ディズニーシーのコンセプトづくりをしたとき、日本人と米国人のちょっとした感覚の違いを埋めるために、私たちはディズニーと相当の議論を尽くしました。この過程はオリエンタルランドとディズニーにとって必要なものだったと思っています。議論の中でディズニーと信頼関係が生まれ、これまでの主従関係から対等なフィフティー・フィフティーの関係が築けましたから。何より、オリエンタルランドの人材が自前でクリエーティブなプランをまとめる力が付いたことが大きかったですね。
ファミリー層に非日常を味わっていただくテーマパークには、少しでも淋しさや郷愁を感じさせるものは置いてはダメです。
足して二で割る案は最悪になる。
どこまで自社の製品やサービスのリピーターを確保していくか。ここが縮小する内需で企業が勝ち抜くポイントです。
オリエンタルランドではここ3年間で年250億円前後の設備投資を続けているにもかかわらず、フリーキャッシュフローは3年間で計1864億円と、当初の目標より500億円以上積み上がる見通しです。こういった設備投資が可能なのは、最適な事業ポートフォリオを組むことでリピーターが増えているためです。
東京ディズニーランドは縮小する国内市場の中で右肩上がりの成長を実現してきました。なぜそれが可能になったのか。結論から言うと、リピーター数の増加です。
単に施設やショーに多額の投資をすればよいというわけではありません。新しいアトラクションを矢継ぎ早に入れるのは財務、資金の面からも限界があります。時間の経過とともにゲストのニーズは変わり、運営する私たちのスキル、ノウハウも高まっていきます。市場が成熟した内需産業では、既存のアトラクションに絶えず磨きをかけることこそ重要なのです。
重要なのはアトラクションの選択と集中ではなく、ひとつひとつが組み合わさって価値を生み出す相乗効果なのです。
短期的な収益計画を追うよりも、顧客満足度を高めることで中長期の成長を狙うのが当社の特徴です。
顧客満足度を高めるには、まず従業員満足度を向上させることが不可欠。
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