三島由紀夫
2
私があるとき死はない、死があるとき私はない。だから人間は死を怖れることはないのだ。
3
男の嫉妬の本当のギリギリのところは、体面を傷つけられた怒りだと断言してもよろしい。
1
男が金をほしがるのはつまり女が金をほしがるからだといふのは真理だな。
4
国家がなくなって世界政府ができるなんという夢は、非常に情けない、哀れな夢なんです。…資本主義国家も国家が管理している部分が非常に大きくなっておりますから、実際の国家の時代という点では、国家の管理機能はむしろ史上最高ぐらいまで達しているのではないか。
個人が組織を倒す、といふのは善である。
男性操縦の最高の秘訣は、男のセンチメンタリズムをギュッとにぎることだ。
何かにつけて青春が未来を喋々するのは、ただ単に彼らがまだ未来をわがものにしていないからにすぎない。
どんな不キリョウな犬でも、飼ひ馴れれば、可愛くなる。幸福といふものは、どうしてこんなに不安なのだらう!
軽蔑とは、女の男に対する永遠の批評である。
0
論敵同士などといふものは卑小な関係であり、言葉の上の敵味方なんて、女学生の寄宿舎のそねみ合ひと大差がありません。
人間、正道を歩むのは却つて不安なものだ。
老夫妻の間の友情のようなものは、友情のもっとも美しい芸術品である。
精神分析を待つまでもなく、人間のつく嘘のうちで、「一度も嘘をついたことがない」といふのは、おそらく最大の嘘である。
初恋に勝って人生に失敗するのはよくある例で、初恋は破れるほうがいいという説もある。
どんな時代にならうと、権力のもつとも深い実質は若者の筋肉だ。
嫉妬こそ生きる力だ。
決定されているが故に僕らの可能性は無限であり、止められているが故に僕らの飛翔は永遠である。
たいてい勇気ある行動というものは、別の在るものへの怖れから来ているもので、全然恐怖心のない人には、勇気の生まれる余地がなくて、そういう人はただ無茶をやってのけるだけの話です。
いくら成人式をやつたつて、二十代はまだ人生や人間に対して盲らなのさ。大人がしつかりした判断で決めてやつたはうが、結局当人の倖せになるんだ。
女を抱くとき、われわれは大抵、顔か乳房か局部か太腿かをバラバラに抱いてゐるのだ。それを総括する「肉体」といふ観念の下に。
三島由紀夫のすべての名言