三島由紀夫
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私を美しいと云つた男はみんな死んぢまつた。だから、今ぢや私はかう考へる。私を美しいと云ふ男は、みんなきつと死ぬんだと。
人間をいちばん残酷にするのは、愛されてゐるといふ意識だよ。
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青春の特権といえば、一言をもってすれば無知の特権であろう。
ユーモアと冷静さと、男性的勇気とは、いつも車の両輪のやうに相伴ふもので、ユーモアとは理知のもつともなごやかな形式なのであります。
あまりに永い苦悩は人を愚かにする。苦悩によつて愚かにされた人は、もう歓喜を疑ふことができない。
何を守ればいいんだと。ぼくはね、結局文化だと思うんだ。
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女といふものは、自分を莫迦だと知る瞬間に、それがわかるくらい自分は利巧な女だといふ循環論法に陥るのですね。
日本人は絶対、民主主義を守るために死なん。ぼくはアメリカ人にも言うんだけど、「日本人は民主主義のために死なないよ」と前から言っている。今後もそうだろうと思う。
愛するということにかけては、女性こそ専門家で、男性は永遠の素人である。
善意も、無心も、十分人を殺すことのできる刃物である。
三千人と恋愛をした人が、一人と恋愛をした人に比べて、より多くについて知っているとはいえないのが、人生の面白味です。
女の人には、自分で直感的に見た鏡が、いちばん気に入る肖像画なんです。それ以上のものはありませんよ。
傷つきやすい人間ほど、複雑な鎧帷子を身につけるものだ。そして往々この鎧帷子が、自分の肌を傷つけてしまう。
無神論も、徹底すれば徹底するほど、唯一神信仰の裏返しにすぎぬ。無気力も、徹底すれば徹底するほど、情熱の裏返しにすぎぬ。
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自分を理解しない人間を寄せつけないのは、芸術家として正しい態度である。芸術家は政治家じゃないのだから。
生命尊重のみで、魂は死んでもよいのか。
恋人同士といふものは仕馴れた役者のやうに、予め手順を考へた舞台装置の上で愛し合ふものである。
無秩序が文学に愛されるのは、文学そのものが秩序の化身だからだ。
一分間以上、人間が同じ強さで愛しつづけてゆくことなんか、不可能のやうな気があたしにはするの。愛するといふことは息を止めるやうなことだわ。一分間以上も息を止めてゐてごらんなさい、死んでしまふか、笑ひ出してしまふか、どつちかだわ。
どんなに平和な装ひをしてゐても「世界政策」といふことばには、ヤクザの隠語のやうな、独特の血なまぐささがある。
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