叔母の言う。「お前はきりょうが悪いから、愛嬌だけでもよくなさい。お前はからだが弱いから、心だけでもよくなさい。お前は嘘がうまいから、行ないだけでもよくなさい。
太宰治
太宰治のその他の名言
-
カチカチ山の物語における兎は少女、そうしてあの惨めな敗北を喫する狸は、その兎の少女を恋している醜男。これはもう疑いを容れぬ厳然たる事実のように私には思われる。
-
疑いながら、ためしに右へ曲るのも、信じて断乎として右へ曲るのも、その運命は同じ事です。どっちにしたって引き返すことは出来ないんだ。
-
私の欲していたもの、全世界ではなかった。百年の名声でもなかった。タンポポの花一輪の信頼が欲しくて、チサの葉一枚のなぐさめが欲しくて、一生を棒に振った。
-
誰がこの私のひたむきの愛の行為を、正当に理解してくれることか。いや、誰に理解されなくてもいいのだ。私の愛は純粋の愛だ。人に理解してもらう為の愛ではない。
-
いいえ、私は天の父にわかって頂かなくても、また世間の者に知られなくても、ただ、あなたお一人さえ、おわかりになっていて下さったら、それでもう、よいのです。私はあなたを愛しています。
-
今の女性は個性がない、深みがない、批判はあっても答えがない、独創性に乏しく模倣ばかり。さらに無責任で自重を知らず、お上品ぶっていながら気品がない。
-
私は、純粋というものにあこがれた。無報酬の行為。まったく利己の心のない生活。けれども、それは、至難の業であった。私はただ、やけ酒を飲むばかりであった。私の最も憎悪したものは、偽善であった。
-
なぜ生きていなければいけないのか、その問に悩んでいるうちは、私たち、朝の光を見ることができませぬ。そうして、私たちを苦しめているのは、ただ、この問ひとつに尽きているようでございます。
-
一日一日を、たっぷりと生きて行くより他は無い。明日のことを思い煩うな。明日は明日みずから思い煩わん。きょう一日を、よろこび、努め、人には優しくして暮したい。