伊達公子
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たったひとつのことでも毎日何かを続けるには、それなりに気持ちを強く持つ必要があります。時間通り、予定通りのルーティンをつくることで、自分の中にリズムが生まれてきます。そうしてやるべきことをコツコツとこなし、決めたことをきちんとやり抜くことが、いずれ実を結ぶのだと思います。
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周りからの支え、いままでの自分の得てきた経験などすべてが、いまのテニスプレーヤーとしての自分を形づくっていると感じます。
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選手の時代は一時期だけ。それより一人の女性として生きていく時間のほうが長い。
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試合はまるで、人生のようです。
年齢を経れば不利と思われるかもしれませんが、テニスでは必ずしもそうではありません。経験があれば、試合運びにしっかりしたプランが立てられますし、途中で柔軟に戦術を変えることもできます。パワーの代わりに頭を使ってショットを決めたり、力で攻めてくる相手がパワーダウンするのを待って攻撃を仕掛けたり……経験は大きな力になるのです。若い選手にはそれが脅威に思えるようで、対戦するとやりづらいと言われます。
私はできる限り時間を効率的に使いたいタイプです。忙しいときは分刻みでスケジュールを組んで、予定を次々とこなします。その代わり、オフの日は自宅でゆっくりと過ごす。そういうメリハリを大事にしています。移動で空港を利用することが多いのですが、「出発の二時間前に着いてゆっくりお茶を飲んで過ごす」なんてことはまずありません。その時間を他のことに使いたい。
若い選手の踏み台になるつもりでコートに立つ以上、私が強くならないと意味がない。
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以前現役だったころと比べれば、体力や回復力が落ちていることは、素直に認めなくてはなりません。だからこそ、無駄を削ぎ落とし、有効な練習法を考える必要があるのです。
日頃の努力があって精神面が生きる。技術は精神以前にやっておかなきゃいけないこと。
ここまでこられたこと自体、奇跡に近い。
私が時間を有効に使いたいと考えるのは、「一分の大切さ」を身をもって知っているからかもしれません。テニスでは一分あれば試合の流れが変わります。負けている試合であっても逆転が可能なのです。ましてや、アスリートとしての私に残された時間は決して多くはないのですから、より一層時間を有意義に使いたいのです。
以前とは違って、人の意見を聞いて受け入れられるようになりました。強がらずに、人がいいというものを一度は試してみようと行動するようになったのです。よりよい結果により効率的にたどり着こうと思えば、選択肢はできるだけ多い方がいい。いいものは採りいれて、最後は自分で決める。そういう柔軟性は大切だと思います。
力を抜かず挑戦し、限界を越えたところで、また自身の力が伸びる。
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本当は、頑張っている実感はそれほどないのです。楽しいことはいくらでも時間を忘れて没頭できるし、自然と力が湧いてきます。いまの私にとって、テニスはそういうものです。でも、それができているのは、自分の力だけでなく、パードナーであるマイクやスタッフたちのサポートあってのことだと日々感謝しています。
勝ち負けにこだわるというよりも、勝ち負けにこだわって、真剣に闘っている瞬間が好きなんだと思います。
年齢を経ていくと人生が下降していくようなイメージを持っている人も多いかもしれませんが、私は決してそうではないと思います。たくさんの経験があるということは、それだけ選択肢をたくさん持っているということ。大事なのは、それをフルに活用するつもりで、日々前進することを忘れないことだと思います。
現役のころは、とにかく勝つために何が必要かだけを考えていて、自分を追い込んでいた。同時に、要らないもの、嫌なものは、すべて排除していました。
テニスは、自分が自分で居られる場所。自分を表現できる場所。
私は過去を振り返らない。今のことだけ考えている。
年齢に縛られてやらないんだったら、これから、なにもできなくなる。
伊達公子のすべての名言