豊臣秀吉
3
これから先、覚悟を改めて恥ずかしくないように心がけるならば、どの国であろうとも知行させたい考えである。しかし、ただいまのように無分別のたわけであったならば、秀吉の甥子としてその身をながらえさせておくことは、お前だけでなく、秀吉の面目をも汚すことになるから、直々に手討ちにしてくれようぞ。秀吉は、元来人を斬ることが嫌いの性分であるが、覚悟がなおも直らないお前を、他国に行かせたのでは、恥の上にも一門の恥さらしとなるから、人手にかけず、秀吉のこの手で殺してやろうぞ。
1
この黄金の輝きも茶の一服に勝るものかななにわの事も夢のまた夢。
2
奉公人に対しては、誰彼れの差別をつけず、役に立つ者に対してはことさらねんごろにしてやるがよい。また、誰であろうとも、忠義のためにこの世を去った者に対しては、その後継ぎを立てて、一家の絶えないようにしてやらねばならない。ただ、家名を継がせる場合に、10歳未満の幼子には、代理を立ててやり、また、夫婦の間に子どももない場合は、弟に継がせ、娘一人子のときには困らないようにしてやらねばならない。
直江兼続は天下の仕置きを任せられる男なり。
主従や友達の間が不和になるのは、わがままが原因だ。
今少し来るのが遅かったら、この首が危なかった。
茶の湯・鷹狩り・女狂いなどは秀吉の真似など決してしてはならぬ。ただし、茶の湯というものは上品な慰み事であるから、しばしば茶会を開き、人を招待したりすることは、一向かまわない。また鷹狩りは、鳶鷹・鶉鷹など、男児の慰みとして盛んにやってよい。女中は屋敷の中に5人なり10人なり置いても差し支えない。ただ、屋敷の外で見苦しく女狂いをしたり、鷹野や茶の湯なども、秀吉のようにむやみやたらにやって、下賤の輩や人目のはばかる所へやたらに出入りすることのなきように、十分に慎むこと。
敵の逃げ道を作っておいてから攻めよ。
家康は愚か者だ。が、油断のならない愚か者だ。
戦は六、七分の勝ちを十分とする。
側に置いておそろしい奴は、遠くに飛ばす。
障子を開けてみよ。外は広いぞ。
露と落ち、露と消えにし、わが身かな。難波のことも、夢のまた夢。
信長公は勇将なり良将にあらず。
人はただ、さし出づるこそ、よかりけれ。戦のときも先駆けをして。
負けると思えば負ける、勝つと思えば勝つ。逆になろうと、人には勝つと言い聞かすべし。
金銀をたくさん積んでおくのは、良い侍を牢に押し込めて置くのと同じことだ。
いつも前に出ることがよい。そして戦のときでも先駆けるのだ。
4
信長公は勇将であるが良将ではない。剛を持って柔に勝つことを知ってはおられたが、柔が剛を制することをご存じなかった。ひとたび敵対した者に対しては、怒りがいつまでも解けず、ことごとく根を断ち葉を枯らそうとされた。だから降伏する者をも誅殺した。これは人物器量が狭いためである。人には敬遠され、衆から愛されることはない。
猿・日吉丸・藤吉郎・秀吉・大閤、これも又皆がいやがるところでの我慢があったればこそ。
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