手塚治虫
1
空想だけは、空腹や金と無関係にできる、唯一のものだった。
0
子供の空想ほど、ファンタスティックな世界はない。それは不条理が当たり前の世界だから。
教師の放つ子供への言葉の力というのは、よくも悪くも深く作用する。
何より重要なのはハングリーな気持ち。常に何かに飢えている緊張感が僕の健康を支えている。もうこれで十分満足、と落ち着いた途端にスタミナが切れて、ダウンしてしまう気がする。
3
人の命なんて、心配してもしなくても、終わる時には無情に終わるものだ。
4
僕は諸星さんの絵だけは描けない。
マンガというものは、もっと無責任でいいと思う。そこまでマンガを深読みすることないと思うんですよ。イデオロギーに沿って描いたって、絶対に面白いものは生まれない。
2
いろんな街の路地裏には、さまざまな人生の味気がしめこんでいる。
子供達に何百ページもの長編を、時間をかけてゆっくり読ませたい。技術教育偏重の育て方。ダイジェスト花盛りの傾向も反省すべきだろう。なによりも、安心してそういったものが読める、ゆとりのある世の中にしてもらいたいものだ。
歴史とはあらゆる角度からあらゆる人間の側から調べなければ、ほんとのことはわからないものなのである。
今ここで自分が描かなければ誰が描くんだろう。
君はいいよねえ。野球漫画だけ描いてればいいんだから。
ひとつのものがずうっと、定着してしまっているということは、逆に不安定で、ぼくに言わせれば「死んだ芸術」ですよ。
5
いいものは売れるんです。
この漫画のどこが面白いんだ、教えてくれ。
労働組合を作ろう。
後世に残る作品をなどと気張らず、百歳まで描きたい。
ぼくという男は、感動した映画なり小説なりを、恥も外聞もなく自作に組み込んでしまう、悪いクセがある。
現在の日本の教育ほど、うわべは百花繚乱の様相を呈しながら、実は根なし草の教育はない。
ぼくは泣いたんですよ。あんなに心の底から泣けた日はなかった。
手塚治虫のすべての名言