武豊
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雑音を消す方法はたったひとつ、レースで勝つしかない。
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パドックで馬にまたがってからゴールして無事に厩務員さんに引き渡すまで、100回以上の選択が繰り返されていると思います。
競馬場がギャンブルから少し離れ、家族や友人同士でスポーツを楽しむスタジアムや野球場のような場所になれば嬉しいですね。そのために、時にはまるで劇画のような、ドラマチックで興奮を誘うレースも見せないと。
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ゴールの瞬間、まるでサイレンススズカが後押しをしてくれたようでした。
昨日のボクより上手に乗れるようになっていたい。
考えてみると、レース中はその場その場で瞬間の判断を求められているのに、「どうしようかな」なんて迷ったことなんてないような気がします。実際、迷っている暇もなく馬は走っているし、レースは容赦なく動いていますからね。うーん、どうやって選択しているんだろうな……。そうか、いつも少しだけあとのことを考えて乗っているんですよ。1コーナーでは2コーナーのこと、2コーナーでは3コーナーのことを考えてる。直線でゴチャつきそうだなというのは3コーナー過ぎあたりで計算しているんですよね、きっと。
大一番の前は、緊張するし、ドキドキしますけど、ぼくは、そのドキドキが大好きなんです。これがなくなったら寂しいだろうな、と思う。レース前はぐっすり眠っても、レースのあとは興奮して眠れないことが多いですね。
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乗れない方がストレスですね。
馬が歓声の正体を確認してみたそうだったから。
あなたにお金を借りた覚えはありません。
勝利で得た一番は自信かな。それは自分のしてきたことが間違いではなかったという自信。
ファーストコンタクトからゲートに入るまでの15分間が特に大事。
「ここで勝てば何連覇だ」とかやっぱり考えます。でも、そうやって自分に期待することは、決してマイナスにはならない。
頑張らんと来年税金が払えんようになる。
ボクらジョッキーにできることは「今度のレースだけは絶対に見に行きたい」と思わせるような競馬を続ける、ということです。
レースの前にはもちろん色々考えます。特にGIは早めに枠順が発表されるので、その分だけ考える時間は長くなる。
自信がない時は絶対にいい結果は出ませんね。僕は自己暗示ではないですが、たいていは勝てるつもりで乗っています。
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競馬は結果がすべて。結果を競っているんであって、努力を競っているわけではない。
勝利の方程式をつかんだ?道を究めた?そんなこと、思ったこともない。デビュー以来3500勝したけれど、出走回数は1万7000回以上。勝率にしたら2割に満たない。負けた数のほうがはるかに多い。
乗りやすいか、乗りにくいかといえば、サンデーの子は明らかに乗りにくいです。でもボクとしてはその乗りにくさが好きだし得意な気がします。誰よりもサンデーサイレンスを知っているし、スランプに陥った馬を立て直す術を知っているつもりなんです。
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