武豊
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去年のマイルチャンピオンシップでは、最内の1番枠をもらったので、早い段階でインにこだわると決めていました。ところが前日がひどい土砂降りで、内側が不利な馬場状態にみるみる変化していった。これじゃあ一回下げて外へ出して行くしかないかなとも思いましたし、それでも、みんなが外へ行くようならギリギリまだマシな内目を狙ってみようかなとか、思いは揺れましたね。
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乗りやすいか、乗りにくいかといえば、サンデーの子は明らかに乗りにくいです。でもボクとしてはその乗りにくさが好きだし得意な気がします。誰よりもサンデーサイレンスを知っているし、スランプに陥った馬を立て直す術を知っているつもりなんです。
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実戦を1万回経験したときに、いままでは見えなかったものがきっと見えてくる気がするんです。
競馬は結果がすべて。結果を競っているんであって、努力を競っているわけではない。
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とにかく、やるべきこと、やれることを全部やっていくつもりです。その結果、見ている人をワクワクさせるような、レースができればいいなと思っているんです。
「ここで勝てば何連覇だ」とかやっぱり考えます。でも、そうやって自分に期待することは、決してマイナスにはならない。
長く乗ってきているので、「あっ、これはあのレースと同じ感じだ」みたいな場面は割と頻繁に出てきます。いわゆるデジャブのようなものです。でも、「あのとき、内に行ったらパッと道が開いたんだよな」と思って行ってみたら、開かなかったり。
もっと上に行こう、という欲を失ったら終わり。努力とか根性とかよりも欲ですよ。
良い馬ですよ。他の馬より脚が遅いだけ。
あなたにお金を借りた覚えはありません。
どんなに経験を積み重ねて、似た場面を分類できたとしても、正解はその都度違うんですから。ただ、選択肢のなかに、正解が含まれている率は経験によって高まるんだと思います。
僕を誰だと思っているんですか。
あそこでこうすればよかった、と思うことも当然あります。というか、そんなことばっかりかな。毎レース、パトロールビデオを何度も見直すのは、次のための勉強なんです。後悔ではなくて、「あそこでああやっておくべきだったかな」とか、「あそこはあっちだったな」とか。それはレース直後でしかわからない感覚ですからね。
ゴールの瞬間、まるでサイレンススズカが後押しをしてくれたようでした。
自慢です。
悔いが残るのは、自分の考えで乗れなかったときです。他人の考えに耳を傾けるのは大事で、「ホントだ。あの人の言ってた通りだ」ということもありますが、自分とは違う考えだったのに安易に影響されてうまくいかなかったときなんか、「ああ……」という気持ちになってしまいます。
ぼくの仕事は、勝って褒められるか、負けてブーブー言われるかのどっちかでしょう。始める前に、結果が出たあとのことをとやかく考えたって仕方がないじゃないですか。ぼくは、考えなくてもいいことは、ホントにぜんぜん考えない。単純なんですよ。
昨日のボクより上手に乗れるようになっていたい。
競輪はお金を使うところで競馬はお金を貰うこと。
伊藤修司先生が非常に期待していたこともあったし、ボク自身も乗ってみて凄い能力を感じていたんです。出られるほうに乗れよ、という声もあったんですが、出られないかもしれない馬を選んだ。あのとき妥協していたら、ものすごく後悔したでしょうね。貴重な経験だったし、後々にまで影響した大きなこだわりだったと思います。
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