武豊
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実戦を1万回経験したときに、いままでは見えなかったものがきっと見えてくる気がするんです。
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もっと上に行こう、という欲を失ったら終わり。努力とか根性とかよりも欲ですよ。
勝利の方程式をつかんだ?道を究めた?そんなこと、思ったこともない。デビュー以来3500勝したけれど、出走回数は1万7000回以上。勝率にしたら2割に満たない。負けた数のほうがはるかに多い。
長く乗ってきているので、「あっ、これはあのレースと同じ感じだ」みたいな場面は割と頻繁に出てきます。いわゆるデジャブのようなものです。でも、「あのとき、内に行ったらパッと道が開いたんだよな」と思って行ってみたら、開かなかったり。
どんなに経験を積み重ねて、似た場面を分類できたとしても、正解はその都度違うんですから。ただ、選択肢のなかに、正解が含まれている率は経験によって高まるんだと思います。
競馬は結果がすべて。結果を競っているんであって、努力を競っているわけではない。
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良い馬ですよ。他の馬より脚が遅いだけ。
「ここで勝てば何連覇だ」とかやっぱり考えます。でも、そうやって自分に期待することは、決してマイナスにはならない。
あそこでこうすればよかった、と思うことも当然あります。というか、そんなことばっかりかな。毎レース、パトロールビデオを何度も見直すのは、次のための勉強なんです。後悔ではなくて、「あそこでああやっておくべきだったかな」とか、「あそこはあっちだったな」とか。それはレース直後でしかわからない感覚ですからね。
僕を誰だと思っているんですか。
悔いが残るのは、自分の考えで乗れなかったときです。他人の考えに耳を傾けるのは大事で、「ホントだ。あの人の言ってた通りだ」ということもありますが、自分とは違う考えだったのに安易に影響されてうまくいかなかったときなんか、「ああ……」という気持ちになってしまいます。
自慢です。
あなたにお金を借りた覚えはありません。
伊藤修司先生が非常に期待していたこともあったし、ボク自身も乗ってみて凄い能力を感じていたんです。出られるほうに乗れよ、という声もあったんですが、出られないかもしれない馬を選んだ。あのとき妥協していたら、ものすごく後悔したでしょうね。貴重な経験だったし、後々にまで影響した大きなこだわりだったと思います。
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競輪はお金を使うところで競馬はお金を貰うこと。
ゴールの瞬間、まるでサイレンススズカが後押しをしてくれたようでした。
ぼくの仕事は、勝って褒められるか、負けてブーブー言われるかのどっちかでしょう。始める前に、結果が出たあとのことをとやかく考えたって仕方がないじゃないですか。ぼくは、考えなくてもいいことは、ホントにぜんぜん考えない。単純なんですよ。
池添に泣き方教えてもらおうかな。
クラシックの騎乗馬に関しては、その後も直前まで決めないのがベストというスタンスで考えています。例えば夏の新馬戦でいい勝ち方をすると、若いジョッキーなどはすぐに「来年はこの馬で」とか言うじゃないですか。ボクは欲張りだから、もっといいのが出るんじゃないかと心の中で思っています。
普段の騎乗馬については、意外なほど騎手には選択権がないんですよ。こちらはあくまでも騎乗依頼を待つ立場なんです。
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