岡本太郎
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若い人たちに言いたい。ただの生ぬるいサラリーマンになることは容易だ。しかし、そこでは本当の自分を誤魔化して、画一化するよりほかはないのだ。それよりも、自分の目、手で触れる、だからこそ危険な道を切り拓いていくべきだ。決して遅くはない。諦めて、投げてしまってはならない。あえて敗れることを決意して、社会にぶつかるのだ。それによって、さらに大きな、輝かしい人間像を形成していくのである。
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まっさらな目をもて!そして目的を捨てろ!
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意志を強くする方法なんてありはしない。そんな余計なことを考えるより、本当にいまやりたいことに、全身全霊をぶつけて集中することだ。ひたすらそれを貫いてみる。はたから見れば、あの人はなんという意志の強い人なんだろうということになるんだ。
自分自身にとって一番の障害であり敵なのは、自分自身なんだ。その敵であり、障害の自分をよく見つめ、つかんだら、それと闘わなければいけない。戦闘開始だ。
生きる日のよろこび、悲しみ。一日一日が新しい彩りをもって息づいている。
上手くやろう、成功しようとするから、逆に上手くいかない。人生上手くやろうなんて、利口ぶった考えは、誰でも考えることで、それは大変いやしい根性だと思う。世の中上手くやろうとすると、結局、人の思惑に従い、社会のベルトコンベアーの上に乗せられてしまう。一応世間体もよく、上手くはいくかもしれないが、本当に生きているのではない。流されて生きているにすぎない。
僕だってしょっちゅう行き詰っている。行き詰った方が面白い。それを突破してやろうと挑むんだ。もし、行き詰らないでいたら、ちっとも面白くない。
あっちを見たりこっちを見たりして、まわりに気を使いながら、カッコよくイージーに生きようとすると、人生を貫く芯がなくなる。そうじゃなく、これをやったら駄目になるんじゃないかということ、まったく自信がなくってもいい、なければなおのこと、死に物狂いでとにかくぶつかっていけば、情熱や意志が湧き起こってくる。
女には、生まれつき筋をつらぬく面がある。男よりずっとしっかりしているよ。
自分を実際そうである以上に見たがったり、また見せようとしたり、あるいは逆に、実力以下に感じて卑屈になってみたり、また自己防衛本能から安全なカラの中にはいって身をまもるために、わざと自分を低く見せようとすること、そこから堕落していくんだよ。
自分の好きな音を勝手に出す、出したい音を出したらいい。
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大体、いちばん素晴らしい絵を描くのは四、五才くらいの子どもだよ。
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自由の実験室。
自由に、明朗に、あたりを気にしないで、のびのびと発言し、行動する。それは確かに難しい。苦痛だが、苦痛であればあるほど、たくましく挑み、乗り越え、自己を打ち出さなければならない。若いときこそそれが大切だ。この時代に決意しなければ、一生、生命は開かないだろう。
人間として生まれてきた以上、恐怖感があるというのは、むしろ自然なことなのだ。これから文明がさらに発達するにつれて、恐怖感を持つ人はもっと増えてくると思う。恐怖感は自分一人でなく、これは人類全体の運命なんだと思って、取り組んでいけば、以外に救われるんじゃないか。
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本当の人間は、みんな透明な目をもった猛烈なシロウトなのである。自分の専門に対しても。
商業と経済は違うんですよ。商業は金儲けでいい。いや金儲けということだ。しかし経済は金儲けではない。人々を幸せにすることだ。このことを多くの人は知らない。
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人間の生活は矛盾だらけだ。それに耐え、そのマイナス面をプラスの面に転化してゆくこと。それが創ることなんだね。
自分らしくある必要はない。むしろ、人間らしく生きる道を考えてほしい。
恋の始まりは瞬間でも、つきあいが長引くかどうかは、美醜よりも人間味にかかわる問題だ。
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