小倉広
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私は、集中力が最も発揮できる時間帯に締め切りのある仕事はしません。以前はこの時間帯にメルマガを書いていましたが、締切りのある仕事はどんな時間帯でも自分を追い込めばできます。この時間帯には、締め切りのない考える仕事をあてています。
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「会社が成果を認めてくれないから、仕事が面白くない」という考え方は、問題を他人のせいにしているだけです。そう考えているかぎり、自分が苦しむことになります。他人は変えられないからです。不可能なことをやり続けるのはつらいに決まっています。
できることはたったひとつ。それは自分を変えることです。もちろん、自分だって簡単に変えられるわけではありませんが、少なくとも可能性がある以上、他人を変えようとするよりは、ずっとストレスが少ないはずです。
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リーダーは部署を最も俯瞰的に見られる立場にいて、かつ決定権を持っています。その中では「現場の声」がなくとも、ムダと判断すれば切る、という必要性も出てきます。私自身も社長として、何度かこうした経験をしてきました。
夢を掲げて幸福がやってくるのを口を開けて待っているだけでは奇跡は起きません。行動することが必要です。その第一歩となるのが「やることのリストアップ」です。夢がエンジンで、現実がタイヤだとすれば、やることリストはエンジンの動力をタイヤに伝えるシャフトの役割だといえます。
尊敬されない上司のパターンのひとつは、「仕事にも人にも優しい」、つまり部下に甘いタイプ。部下が失敗しても「大丈夫だよ」といたわり、課題解決は先送り。部下は一時的には上司に好感を持ちますが、成果は上がらず、組織も立ち行かなくなります。部下も徐々に「この人はただ調子が良いだけなのでは?」と気づき、最終的にはナメられてしまうわけです。
「人生でやりたいこと」とは、多くの場合、いますぐ手をつけなければならない緊急事項ではないでしょう。しかし、仕事で多忙を極めているはずの高年収者ほどそのための時間を意識して生み出し、努力してスケジュール化しています。
いいことも悪いことも、結局は自分のしたことが回りまわって戻ってくるのです。
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尊敬される上司になるには、「仕事」には「信用」。「人」には「信頼」。それぞれ異なるシステムで対応すること。「信用」とは、過去の実績があるからこそ、相手を信じる、という姿勢。「信頼」とは、相手を無条件に信じること。
部下に仕事を任せるときには同時に、「何をやるか」「どのようにやるか」も確認しておかなくては、すれ違いが大きくなるばかりです。ただし、上司のやり方を押しつけてはいけません。上司と部下が二人でホワイトボードに向かいながら、共同作業で一緒に考えていくのです。
自分の仕事を意味のある仕事、人とつながる仕事に変えることで、どんな仕事でもステップアップできます。
あえて自慢話に耳を傾けてみましょう。相手を喜ばせることができるし、「自分はそういう話はしない」と心に決める訓練にもなります。自慢話の根っこにあるのは劣等感です。だからこそ、自慢された時、その心中を察して寛容になれれば、謙虚な心も鍛えられていきます。
外発的動機づけは、報酬・昇進・称賛などを得るために、あるいは減給・左遷・叱責などを避けるために頑張るといった、外から与えられる条件により起こるもの。しかし、外発的動機づけには限界があるため、上司などに依存する非自律的人間を生んでしまいます。
人間関係には「作用・反作用の法則」があるので、「俺を認めない部長が悪い」などとグチや悪口をいえば、必ず倍になって返ってきます。悪口が相手の耳に入れば、ますます上司から嫌われ、評価が下がるだけ。反対に、グチをいわずに上司に指示された仕事を一生懸命やっていれば、上司も「俺のためにこんなに頑張ってくれるなんて、いい部下だな」と思って、その人を可愛がるようになる。
お金を生むのは人を動かす仕事です。たとえば米俵を一人で一俵担げる人はすごいが、人を使って百俵担がせる人はもっとすごい。一人だけの作業と人を動かす仕事では、圧倒的なパフォーマンスの差が生じるし、当然ながら稼ぐ額も違ってきます。
「内発的動機づけ」は、自分で決めているという自己決定感や有能感など、自分の中からわき出るもので、これがある限り、人はモチベーションを保ち続けることができます。部下を褒めたり叱ったりするマネジメントは、その機会を奪ってしまうことになるのです。
仕事を手伝ってもらうと、その「借り」を返そうという気になります。実は、「借りを作り返そうとすること」こそが、相手とのつながりを深め、信頼関係を築き上げます。逆にいえば、仕事を頼まない人や借りを作らない人は、信頼関係作りを放棄しているのと同じなんです。
ときには、自分と他人を比較して、「どうしてあいつのほうが評価が高いんだ」と不満に思うこともあるでしょう。でも、その人の評価が高いのは、信頼を蓄積しているからです。上司に指示されたことは素直にやり、上司が困っていたら助け舟を出す。その積み重ねで上司の信頼を得ているのです。それを「上司にゴマをすっている」などと非難するのはお門違い。リーダーが仕事をしやすいように部下が動けば、組織の生産性は上がるのだから、会社員としてごく当たり前の行為です。
ほかの人が「つまらない」といって手を抜く仕事を一生懸命にやっていれば、それだけで目立つし、評価も上がる。抜擢や昇進といったチャンスも増えるでしょう。転職を考えるとしても、そういう人なら誰かが声をかけてくれるし、いい縁にも恵まれる。結局、いまいる場所でベストを尽くすことが、人生を確かなものにする唯一の方法なのです。
「俺は上司にこびたくない」などと妙な美意識を発揮する人は、組織より自分を優先しています。組織のパフォーマンスを下げれば、会社から認められないのは当然のこと。自分を認めてほしいのなら、なおさら「フォー・ザ・チーム」の精神で行動すべきです。
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