島崎藤村
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若き聖ののたまはく道行き急ぐ君ならば迷ひの歌をきくなかれ。
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好い笑いは、暖かい冬の陽ざしのようなものだ。誰でも親しめる。
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寂しい道を歩きつづけて来たものでなければ、どうしてそれほど餓え渇いたように生の歓びを迎えるということがあろう。
独立した田舎は、その反対に単独の発達を遂げるには、それぞれの歴史、農産業の発達、貨物の集散、その他政治上、経済上の事情などに依ってそれぞれ人物も必要であるし、経営も必要であるし、それからなお、独立した地方の精神と云うものがなくてはならぬ。
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田山君、死んでゆく気持ちはどうだね。
2
旧だ。
若菜集。
一生に秘訣とはこの通り簡単なものであった。「隠せ」――戒はこの一語に尽きた。
私は田舎教師として8年も小諸にいた。小諸は私の一生に取って忘れることの出来ない土地だ。
人力の限りあるを知るのが自信だ。
破壊。
待ち受けた夜明けは、何もそう遠いところから白んで来るでもなく、自分の直ぐ足許から開けて行きそうに見えた。
新生。
何卒えて置いて下さい。
ずっと年をとってからの日のために、雪が降ったから茶でも飲みにお出で下さいと言えるような、そういう老後の友達を三、四人つくって置きたい。
夜明け前。
仮令許して下さい。
明日は、明日はと言って見たところで、そんな明日はいつまで待っても来やしない。今日はまた、またたく間に通り過ぎる。過去こそ真だ。
人間も忿怒を制えないうちは、本当に自然を友とすることはできない。
同じ一つの時代にもひき潮の時期があり、さし潮の時期がある。四季が循環するように、冷熱は一代の人の心を従来してやまない。
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