島崎藤村
4
皆一緒に学校を出た時分──あの頃は、何か面白そうなことが先の方でわれわれを待っているような気がした。こうしているのが、これが君、人生かね。
1
古いものを壊そうとするのは無駄な骨折りだ。ほんとうに自分等が新しくなることが出来れば、古いものは壊れている。
3
結婚するのに精神の勇気を要するならば別れるのにとっては猶更精神の勇気を要する。
人の世に三智がある。学んで得る智、人と交わって得る智、みずからの体験によって得る智がそれである。
生きたくないと思ったって、生きるだけは生きなけりゃなりません。
2
人間のためと言いましても、自分のすぐ隣にいる人から始めるよりほかに仕方がない。
生命は力なり。力は声なり。声は言葉なり。新しき言葉はすなわち新しい生涯なり。
私たちの不安は、何一つ自発的に働きかけるようなものを持たないで、ただただ受け身の位置にあることを暗示させられるところからくる。
手を貸して下さい。この病後の力なさをお救ひ下さい。私も今このまゝ旅の途中で倒れたくはありません。
今日まで自分を導いてきた力は、明日も自分を導いてくれるだろう。
われわれは何処へ行っても、皆な旧い家を背負って歩いてるんじゃ有りませんか。
私は田舎教師として8年も小諸にいた。小諸は私の一生に取って忘れることの出来ない土地だ。
彼は人から聞いた話よりも、彼自身の内部に一層よく父を見つけて行った。
この世にあるもので、一つとして過ぎ去らないものは無い、せめてその中で、誠を残したい。
独立した田舎は、その反対に単独の発達を遂げるには、それぞれの歴史、農産業の発達、貨物の集散、その他政治上、経済上の事情などに依ってそれぞれ人物も必要であるし、経営も必要であるし、それからなお、独立した地方の精神と云うものがなくてはならぬ。
いつまでも君、恋の影なぞに欺されて居られるものか。唯、誠が残ればいい。
旧だ。
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強烈な威圧の力も結局小さなたましい一つをどうすることも出来ない。
ユーモアのない一日は、きわめて寂しい一日である。
文学界。
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