司馬遼太郎
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妻が陽気でなければ、夫は十分な働きはできませぬ。夫に小言をいうときでも、陰気な口からいえば、夫はもう心が萎え、男としての気おいこみをうしないます。同じ小言でも陽気な心でいえば、夫の心がかえって鼓舞されるのです。陽気になる秘訣は、あすはきっと良くなる、と思いこんで暮らすことです。
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男が自分の技量に自信をもったときの美しさというものは格別なものだが、自らの位階に自信をもった場合は、鼻持ちならなくなる。
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志を守り抜く工夫は、日常茶飯の自己規律にある。
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先人の真似ごとはくだらぬ。
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基準を学問という。基準のない人間は、人から信用されない。美でもない。美でもなければ人から敬愛されない。
日本の昭和の半世紀というものは、変化のすさまじさという点で、人類史上、どの人類も経験しなかったものではないか。
雨が降ってきたからって走ることはない。走ったって、先も雨だ。
食が英雄を成立させた。不幸にも食わせる能力をうしなうとき、英雄もただの人になった。
ともかく若い間は、行動することだ。めったやたらと行動しているうちに、機会というものはつかめる。
日本列島を暗箱に入れたような体制かで、長崎は針で突いたような穴になった。知的感光能力さえあれば写真は写るのである。
教育なんて人からされるものじゃないんだ。
地名には言霊が宿っているだけでなく、私どもの先祖の暮らしや歴史が刻印づけられていると思っている。
人間のいのちなんざ、使うときに使わねば意味がない。
どうすれば戦わずして勝ちうるか、奇計異術では出来ない。誠をもって押してゆく以外にない。
古今、物事を革新する者は多くはその道の素人である。
親分――英雄――は流民に食を保障することによって成立し、食を保障できない者は流民に殺されるか、身一つで逃亡せざるをえない。
人間には志というものがある。この志の味が人生の味だ。
日本は滅びる。
何事か成し遂げるのは、才能ではなく性格である。
相手を説得する場合、激しい言葉をつかってはならぬ。結局は恨まれるだけで物事が成就できない。
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