齋藤孝
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上司の大きな役割の1つは、部下に対する「御用聞き」だと、私は思っている。特に用件がなくても、機会を見つけては、「調子はどうだ?」「何か困っていることはないか?」と、声をかけた方がいい。部下の表情や声の調子から状況を把握でき、「気にかけてもらっている」という印象を与えられる。
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一つでもインスピレーションを得ることができれば、コミュニケーションは完全な成功である。
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自分の目指す利益が明確に定まっていれば、どういう選択肢を用意できるかも見えてくる。あるいは相手がどういう利益に固執しているかが読めれば、その部分を譲ることで、「その代わり」と、自分の要求も出しやすくなる。より柔軟かつ多くの選択肢を用意すればするほど、交渉はスムーズに進むだろう。
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長い人生には、勝つべき大事な勝負と、勝たなくてもいい「小さな勝負」がある。目先の勝ち負けだけではなく、もっと広い視野で考えることも大切。
テーマすらはっきりしない会議が少なくない。状況を打破するためには、「何のための会議か」を、改めて自問する必要がある。
私自身は打ち合わせの時には必ずそのポイントを箇条書きにしたものなど、資料持参していきます。紙を見ながら話をすると効率がいいし、その紙に書き込むことができるので、相手の人にも親切です。いずれにしてもちょっとした準備がコミュニケーションにはとても大切です。
どれほど天才的なビジネスパーソンでも、将来への見通しをすべて的中させることはできません。決断しても、それが裏目に出ることは大いにあります。しかし彼らは決断が早い分、撤回も早い。周囲を振り回すことになりますが、傷口を最小限に抑え、しかも短期間のうちに失敗の経験を蓄積し、また素早い決断で再生を期すことができます。このサイクルの繰り返しが、より大きな決断を可能にさせているのです。
朝令暮改はむしろ称賛すべきでしょう。少なくとも、いつまでも決断せず、失敗も成功もできない状態よりは、本人にとっても組織にとってもずっといい。
読書は、一人のようで一人ではない。本を書いている人との二人の時間である。
自分のアイデアを通したいという情熱はもちろんだが、イメージ喚起にはデータによる裏づけも必要だ。統計的な数字に限らず、新聞・雑誌の記事や顧客の声などを提示すれば説得力も高まる。これは、プレゼン等での常套手段だろう。もう一段上を狙うなら、自ら動いてデータを作る手がある。
しっかり相手に伝えたいとき、人は自然に準備するものです。先日何も持たずに手ぶらでプレゼンした学生がいましたが、とても違和感がありました。ちょっとした準備が相手とのコミュニケーションをより円滑に深いものにする。「この人は準備してきて真剣だな」というアピールにもなります。
ビジネス文書を書くときに、最初の一文が思いつかないのであれば、ひとまず書いてしまってからキーフレーズを抜き出すといいでしょう。キーフレーズをそのままコピー&ペーストする感覚で冒頭に持って来れば、それが読み手にとって、もっともインパクトのある冒頭文になります。
交渉ではいくつかの条件やオマケを用意すること。お互いに「この案しか認めない」とごり押しし合っていては、らちがあかない。「この部分は譲歩するから、この要求はのんで欲しい」「こういうサービスを追加するから、料金はこれでお願い」等々と、足し算・引き算をしていく。
人というのは、普段はそれほど仲がよくない者どうしでも、みんなでこれを成し遂げようというものがあれば、手をとり合って協力するようになる。
会議でも酒の席でも、些細な言い争いが人間関係をこじらせることはよくある。そうなる前に、言いたいことをグッとのみ込んで「スラリと流して」しまうのが得策。それが大人の度量というものだ。
文章を最後までひととおり書いたら、その中から文章の核となるキーフレーズを3つ探します。キーフレーズは、問いと答えでいうと答えにあたる部分でもあります。本来であれば、「この文章は何のためにあるのか」という問いは、たとえ漠然としたものであっても書く前から浮かんでいるはずです。ただ、それを文章という形で表現することに手間取るなら、逆に答えの方から問いを明確にしていくアプローチがあってもいい。キーフレーズが見つかったら、逆にキーフレーズから問いを立てていくことにより、問題意識を読み手と共有できるような一文をつくるのです。あとは、それを頭に持ってきて二文目以降を整理するだけです。
私は仕事も勉強も、人生における「祝祭」だと考えています。新しい仲間と出会い、新しいアイデアを考え、新しいモノを生み出す。新しい意味が生まれる場所は、すべて祝祭の場となります。それを祝う心で、何事にも上機嫌で相対することができれば、いつしか小さい自分を乗り越えていくことができるはずです。
しばしば携帯電話を片手に、空に向かって頭を下げている人を見かけるが、実はあれが正しい姿勢。身体の姿勢は、声や思考にも反映される。たとえ相手が目の前にいなくても、「申し訳ない」という気持ちを表すには平身低頭するのが第一歩。
私はじつはメモを取るとき、相手の話やキーワードはもちろんですが、それよりもむしろ自分の発想や思いつきをメモすることが多い。相手の言葉、キーワードを書き込むと同時に、自分の頭の中でそれを膨らませて行く。するといろんな発想や記憶が出てくる。それをメモします。
文章の最初と最後は読み手の印象に残るような工夫が必要ですが、肩に力が入りすぎてしまうのか、最初の一文が浮かばないことがよくあります。解決策として、最初の一文にこだわらず、最後までひととおり書いてみることをお勧めします。
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