齋藤孝
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自分より相手に話の主導権を握らせるほうが盛り上がります。雑談では自分が話をする場ではないと割り切って、相手の話に質問をし、ひたすら返していくといいでしょう。
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私は集中すべき仕事に関しては、大学の授業時間と同じ一時間半を一コマと考えて組むようにしています。これは、長年大学で教えていて慣れているからでもありますが、そもそもそれ以上の時間だと、人間の集中力はなかなか続きません。そして、時間を取るべき仕事のあとにはあえて5分、10分で終わる仕事を入れてメリハリをつけています。
ポジティブな感情なら、仕事の場でも無理に押し殺すことはない。感情は伝わりやすいから、相手もポジティブになれる。そういう関係を築ければ、お互いに悪い印象を持つはずがない。
書き言葉を自分のものにするには、書き言葉で話してみることも大切です。本来、書き言葉と話し言葉は地続きではありません。それを本の内容を書き言葉を使って人に話すことで地続きにするのです。それにより、書き言葉が自分の中に定着して、自在に使いこなせるようになります。
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質という客観性に乏しい指標は、目標として掲げるには難しいものです。自分のレベルを自分で判断すること自体が困難ですし、質を求めるプライドが前進の邪魔をすることもあります。プライドというのは見せまいと思っても自然と出てくるものなので、いったん心の中にしまっておき、まずは誰が見ても客観的に判断できる量で勝負してみると、他人の評価もついてくるようになるものです。
良かれ悪しかれ、人間はイメージの影響を受けやすい。成否は、いかに相手に具体的なイメージを伝えられるかに尽きる。
うまくいかず悶々としているのかそれとも現状に満足せず成功に向かってエネルギーを貯めているのかその違いがその後の人生を左右します。
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好印象を生み出す3つのポイント。
分厚い資料や100の言葉より、1個の現物を見せた方がイメージはずっと湧きやすい。
英単語を覚えるように言葉や用法を覚えても、それは知識として自分の文章で使えるようにはなりません。言葉と価値観とはワンセットです。好きな著者の本を何冊も読むことをお勧めするのも、著者の考え方や人生観も含めてまるごと輸入して欲しいからです。
雑談がうまい人は、上手な質問ができる人。質問しないと、相手が何に興味があるのかわかりません。
私たち日本人は、何かを判断する際、「論理的に正しいかどうか」よりも「感情的に納得できるかどうか」を優先させがちだ。理性よりも情動で動きやすい。しかし感情は揺れる。ブレる。その時々の主観に支配される。リーダーとして、自分を、あるいは自分の率いる集団をよりよい状態へと高めていくためには、みずからの理性の力に信頼を置き、確固たる基軸を自分の裡に持つことが重要だ。
リーダーとして大事なことは、自分自身の中に明確な基準を持って、確かな判断を打ち出せることであり、なおかつ独断や慢心に陥らないよう、自己客観視して自分を修正していく柔軟さである。ふたつを併せ持つことで、自己肯定力と自己客観力の具わったブレのないリーダーになれる。
論文の「質」で目標設定を行っていたときは肩に力が入ってなかなか前に進めませんでした。しかし、「量」での目標設定に変えてみると、リラックスして取りかかれ、最後まで書きとおすことができました。完ぺきを求めるあまり完成に至らないという事態から、ようやく抜け出すことができたのです。
自分の気質とか仕事の向き不向きを見極めるコツは自分がこれだと疲れないという一点を見つけることです。
多くの人はやるべきことを1日単位で考えているはずです。つまり、朝会社に来ると「今日中にこれとこれとこれを終わらせよう」と決め、仕事を始める。ただ、1日単位だと、どうしても集中力は高まりません。むしろ、「この仕事は○時間、あるいは○分で終わらせる」という意識でスケジュールを組むべきなのです。
優れたリーダーといわれる方にお会いして感じるのは、状況がよく見え、的確な判断ができ、自分が今何をなすべきかを見誤らないということだ。混沌としている人がいない。経験と実績に裏打ちされた自信が体に漲り、勢いがある。決断が早く、コミュニケーションに長け、声も強い。そうした精神の明晰さと身体的迫力が、人を惹きつける。部下やビジネスパートナーを「この人についていけば大丈夫だ」「この人と一緒に何かをなしとげたい」という気持ちにさせるのだ。
過去に、論文を書くのが仕事であるのにもかかわらず、2年間にわたってまったく書けなかったという苦い経験をしました。当時は「驚くほど質が高くて画期的な論文を目指す」という目標を掲げていたのですが、いまにして思えば、この目標設定自体がつまずきの原因でした。高い理想を掲げても目標の内容そのものが具体的な実効性に欠けていては、行動にはなかなかとりかかれませんし、モチベーションも上がりません。それに気づいて、2か月に1本論文を書くという目標に設定し直しました。
お勧めしたいのは、常にストップウォッチを持ち歩くことです。書類作りでも、打ち合わせでも、スタート時にストップウォッチを作動させます。まずはあらゆる仕事の作業時間を計測するのです。これが、次回同じ作業をする際の目安となります。次回はストップウォッチを意識しながら、前回より少しでも時間を短縮できるよう、仕事を進めていくわけです。感覚としては、タイムトライアルに挑戦するアスリートと同じかもしれません。時短をスポーツ感覚で楽しむことができれば、モチベーションも上がります。それを繰り返すことで、少なくとも、一回目に作業したときの半分ぐらいの時間で仕事を終わらせることができるようになるはずです。
おまえはまだ全力を尽くしていない。今おまえは自分で自分の限界をあらかじめ設定してやらない言い訳をしている。
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