齋藤孝
1
読書は、一人のようで一人ではない。本を書いている人との二人の時間である。
2
自分のアイデアを通したいという情熱はもちろんだが、イメージ喚起にはデータによる裏づけも必要だ。統計的な数字に限らず、新聞・雑誌の記事や顧客の声などを提示すれば説得力も高まる。これは、プレゼン等での常套手段だろう。もう一段上を狙うなら、自ら動いてデータを作る手がある。
0
しっかり相手に伝えたいとき、人は自然に準備するものです。先日何も持たずに手ぶらでプレゼンした学生がいましたが、とても違和感がありました。ちょっとした準備が相手とのコミュニケーションをより円滑に深いものにする。「この人は準備してきて真剣だな」というアピールにもなります。
相性や好き嫌いという感情は脇に置いて、いわば戦略的互恵関係を築くことが重要。
これだという最良の選択肢があれば、決断は簡単です。しかし現実にはそういう選択肢がそもそも存在しないケースも多い。そういうとき、決断が遅い人は思考停止状態に陥りがちです。かたや決断が早い人は、「手持ちの選択肢の中で、一番痛い目に遭わないのはどれか、仮に失敗してもなんとか取り返しがつくのはどれか」という視点で選択肢を消していき、素早く決断を下します。
交渉ではいくつかの条件やオマケを用意すること。お互いに「この案しか認めない」とごり押しし合っていては、らちがあかない。「この部分は譲歩するから、この要求はのんで欲しい」「こういうサービスを追加するから、料金はこれでお願い」等々と、足し算・引き算をしていく。
文章を最後までひととおり書いたら、その中から文章の核となるキーフレーズを3つ探します。キーフレーズは、問いと答えでいうと答えにあたる部分でもあります。本来であれば、「この文章は何のためにあるのか」という問いは、たとえ漠然としたものであっても書く前から浮かんでいるはずです。ただ、それを文章という形で表現することに手間取るなら、逆に答えの方から問いを明確にしていくアプローチがあってもいい。キーフレーズが見つかったら、逆にキーフレーズから問いを立てていくことにより、問題意識を読み手と共有できるような一文をつくるのです。あとは、それを頭に持ってきて二文目以降を整理するだけです。
私は仕事も勉強も、人生における「祝祭」だと考えています。新しい仲間と出会い、新しいアイデアを考え、新しいモノを生み出す。新しい意味が生まれる場所は、すべて祝祭の場となります。それを祝う心で、何事にも上機嫌で相対することができれば、いつしか小さい自分を乗り越えていくことができるはずです。
しばしば携帯電話を片手に、空に向かって頭を下げている人を見かけるが、実はあれが正しい姿勢。身体の姿勢は、声や思考にも反映される。たとえ相手が目の前にいなくても、「申し訳ない」という気持ちを表すには平身低頭するのが第一歩。
私はじつはメモを取るとき、相手の話やキーワードはもちろんですが、それよりもむしろ自分の発想や思いつきをメモすることが多い。相手の言葉、キーワードを書き込むと同時に、自分の頭の中でそれを膨らませて行く。するといろんな発想や記憶が出てくる。それをメモします。
長い人生には、勝つべき大事な勝負と、勝たなくてもいい「小さな勝負」がある。目先の勝ち負けだけではなく、もっと広い視野で考えることも大切。
文章の最初と最後は読み手の印象に残るような工夫が必要ですが、肩に力が入りすぎてしまうのか、最初の一文が浮かばないことがよくあります。解決策として、最初の一文にこだわらず、最後までひととおり書いてみることをお勧めします。
メモというのはその行為自体が相手に対するアピール。「私はあなたの話をしっかり聞いていますよ」という証明になるし、敬意を表すサインにもなります。
プライドは減らしていくというのが重要。30近くになったら、つまらないプライドなんか捨てていくこと。
ビジネス上の決断に、裁判の判決のような細かさや正確さが求められることはまずありません。むしろ、一定のグレー幅の中で決断すればいいことがほとんどでしょう。決断が速い人はそのことをよく知っているから、素早い決断が可能なのです。
一人の静かな時間は、人を育てる。
ひとつの道を極めることは、人生の真実に到達していることを意味するので、たとえ文学のことを語っていても仕事や人生に通ずる教訓を引き出すことができる。
ふりかかってくる困難を乗り越えることにこそ自分の存在意義があり、これがリーダーとしての必然なのだと考えられると、そこに苦痛はなくなる。難題をクリアしていくことは、むしろ自分の使命となり、モチベーションとなる。
人が挑戦を恐れるのは、信じ方が足りないからなんだ。
皆さんは誰かと話をするとき、メモを取りますか?もちろん家族とか友人と雑談するときなどは必要ありませんが、ビジネスの現場で相手と話をするとき、メモは大切なコミュニケーションのツール。基本と言っていいでしょう。私の経験上、頭がよくて仕事ができる人ほど、まめにメモを取ります。
齋藤孝のすべての名言