松岡修造
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プロになったばかりのころ、僕はボレーが下手でした。でも、とにかく自分で褒めようと思い、ボレーを決めたときは「ナイスボレー、修造!」と叫んでいました。観客は笑っていましたが、人から笑われようが、「アホか」と思われようが、自分にプラスになることなので気にしませんでした。自分で褒めていくうちに、「俺はボレーが上手いんじゃないかな」と自信のようなものが出てきました。やがて成功率が失敗率を上回り、ボレーが上手になりました。
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僕がレポーターをやっているテレビ番組「くいしん坊!万才」で、こんなことがありました。ロケでホタテの殻むきをする漁師さんに、毎日毎日同じ仕事をするのは大変ではないか、と聞いたのです。それに対して漁師さんは、「ホタテひとつひとつが違うからむき方も当然変わる。自分の体調だって毎日同じではない。体調によって、今日は腕の力を抜いてやろうとか、日々の変化に合わせて工夫している。単調な作業に見えて実はぜんぜんそんなことはない」と言い、僕も聞いて、なるほど!と思ったのです。つねに前よりも良い結果を残したいと考え、より良いパフォーマンスを心掛けて工夫をすれば、どんな仕事でもマンネリにはならないと思います。
ケガのとらえ方というのは、その人の性格というのもあると思うんです。たとえば5痛いものを、10痛いととらえる人と、1痛いととらえる人がいる。ナダルとか、いまのトップ選手というのは、痛みに強い。「痛いのは当たり前」といった感覚でプレーしています。でも、僕なんかはどうしても痛みを大げさにとらえてしまうことが多かった。僕はケガに対するとらえ方がヘタで、ケガでいろんな失敗をしてきただけに、テニスの指導の現場では、この経験は「宝物」なんです。経験に即して細かく指導できますから。根性論には絶対ならない。たとえば、リハビリというとケガをしたあとというイメージがありますが、ケガをしないためのリハビリというのもある。こういうトレーニングを積んでおくと、ケガを防げるという。
「WHY?」よりも「HOW?」に意識を傾けてみてください。「なぜ私ばかりこんな目に遭うのか」ではなく、「どうすればこの苦境を乗り越えられるのか」と考えるのです。HOWを唱え続け、自分ではコントロールできない事態を乗り越えた経験は、成長と強い心をもたらすはずです。
仕事に行き詰ったとき、「今日はもういいや」と、パッと寝てしまうとか、遊びに行くとかすると、翌日は頭がスッキリしてはかどった、という経験があるでしょう?閉塞した状況をぶち壊すには、開き直った方がいいときもある。「開き直る」ということは、ものごとを諦めたり投げ出したりするのとは違うのです。
失敗してもいいんだぞ。失敗すれば、どこが悪かったのかわかる。失敗を恐れて何も行動しなくなるのが、一番よくない。
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人の弱点を見つける天才よりも、人を褒める天才がいい。
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真剣に考えても、深刻になるな!
高校3年のときに、単身アメリカに渡りました。アメリカで、ボブに「修造、腕試しにプロの試合に出てみないか?」と言われましてね。プロになるなんて考えてもみなかったですよ。そんな力もないと思っていたし、日本人で海外のツアーを転戦しているという選手も、まだいませんでしたから。躊躇していたときです。ボブに「つまらない恐怖心は持つな!」と言われた。それで決心がついて、プロの小さなトーナメントに出たんです。なんとか大接戦を勝ち抜き、初めてプロの本戦に出ました。そうなると、やっぱり世界相手に挑戦してみたくなるじゃないですか。それでプロのスタートを切ったんです。
意外と思われるかもしれませんが、僕自身、ネガティブ思考なので、現役時代に数々のメンタルトレーニングを試し、自分に合ったものを選んできました。
長い人生のうちには、僕が経験したような最悪の状況に出くわすことが一度や二度はあると思います。そのとき、マイナス現象である大失敗を、あえて積極的に評価してみる方がいい。それもまた、失敗を宝にすることになると思います。
喜怒哀楽の感情は、僕たちの体に備わった自然のリセット装置なのだと思います。日本人はどうしても感情を抑え込んでしまいがちですが、嫌なことがあったら一人になって泣き叫ぶ、嬉しいときには飛び上がって喜ぶ、それでいいじゃないですか。もっと喜怒哀楽を大切にして、感情を解き放つ心地よさを味わいましょう。
スポーツニュースに出演する際、僕はただ原稿を読み上げるのではなく、つねに自分の言葉で新しいことを伝えようとしています。だからこそ、実は毎回1、2回は言い間違いをしています。いくらやっても慣れるということはないし、毎回緊張もします。でもそれは、マンネリになっていないという証拠だと思います。
面白くないならば、面白くするように仕掛ければいい。
挫折や敗北の受け止め方は、自分の心次第で変わる。捉え方によって自ら変えることができる。
人と同じことをしなきゃいけないという思い込みから自分を解放してあげましょう。
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よく、時間が解決してくれると言うけれど、そうは思わない。でも、行動した時間なら解決してくれるはずだ。
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崖っぷちありがとう!最高だ!
正直に言えば、僕は「マンネリ」という感覚があまりよくわからないんです。同じ仕事をするにしても、前にその仕事をしたときより自分自身は進化していますよね。同じ人へのインタビューでも、同じものを食べるにしても、自分が変われば、見え方、捉え方も変わるはずです。あるいは、前回失敗してしまったとしたら、今度はその反省を踏まえて、より良いパフォーマンスを出すチャンスが得られる、と考えます。そう考えれば「またか」「同じことでつまらない」なんて感じることはまったくありません。
一時的とはいえ、テニスより麻雀という遊びを選んでしまった。いま思えば1つの挫折でしたよね。「ああ、自分は弱いんだな」って。それで、もっと厳しい環境に身を置こうと、思い切って、慶應高校からテニスの名門・柳川高校へ転校したんです。弱い自分を鍛え直すには、厳しい環境に自分を置くしかない。だからテニスの厳しい柳川に行くしかないと。
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