高橋尚子
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実は私自身、シドニーオリンピックを終えて、小出監督にプロになるぞと言われたとき、正直なところ、すごく嫌でした。プロになれば、テレビに出たり、他の仕事をしたりして練習時間が減ってしまうからです。私は弱い選手なので、たとえオリンピックで勝っても、数日休んだらみんなについていけなくなるんじゃないかって不安だったんです。もともと中学、高校、大学と選手としては弱くて、努力で成り立っていたから、努力が減る、力が落ちる、みんなに置いていかれるというのが心配でした。
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昔はチーム内に競える選手がたくさんいて、高いレベルで接戦になっていましたが、今は人数が減って、チーム内で刺激しあうこともなかなかありません。だからこそ、日本が一つのチームとなって、海外と刺激を与えあう環境が必要だと思います。
子どもたちの数が減っているのも現実です。野球やサッカーに優秀な子を取られてしまっているのもあります。現に、マラソンを始める子が増えたかというと、そうでもないですね。
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条件の違う4大会で3人を選ぶというのは初めから決まっていることなので、選手はレースに合わせてがんばるしかない。それだけです。とにかく、レースに向けて最大限の力を発揮することを考えないと力は出せないと思うんです。決められた大会で実力を出すこと。厳しいようですが、選手にはそれしかありません。
あきらめたら終わる。
実業団時代を振り返ると、チーム内に有森裕子選手がいて、鈴木博美選手がいて、ある意味、試合より練習のほうが緊張しました。今は選手層が薄くなり、練習量が減り、選手が練習でもまれる状況が減ってきたのが心配です。
今、市民ランナーの数は増えています。皇居の周りを1日5000人くらいの人が走っているとも言われています。それだけトップランナーの気持ちを分かってくれる人が増えたわけです。それなのにヒーロー、ヒロインが出てこないというのは、もったいないことです。せっかくブームが来ているわけですから、ブームに乗っかるような人が出てこないといけません。
私もそうでしたが、誰もやったことがないのに本当にできるのかなという不安の中でやるのと、もうやり遂げた人がいる道を通るのはぜんぜん違います。女子のみんなには、もっと自信を持ってもらって、自分にもできるんだと思ってほしいです。体形を見ても、私たちのころと今の子どもたちは脚の長さも違うし、背の高さも違うし、ものすごく恵まれた素質を持っています。あとは、それを咲かせるだけです。できないはずはありません。
人生で大事なことはマラソンから学んだ。
選手にけがをさせるほど練習させるのは良くない。それは当たり前です。でも、みずきちゃんとよく話すんですが、「この練習をしたらけがをするかもしれない。でもやらないと世界と戦えないとしたらどうする?」って。私たちは迷わず、けがをしてもいいから突き進む道を選びます。
小学校の頃は、走ることは好きでしたが、走ることを生活の中心には置いていませんでした。大会に出る機会もあまりありませんでした。中学校で陸上部に入ってからは、何とかして強くなりたいのにその方法が分からなくて悩むことが多かったです。
人への感謝の気持ちも、自分の力になる。
Qちゃん。
今あれこれ考えるより、そのちょっとの間に、腹筋とか何かをしたほうが良い。アテネに向けて、1日、1日を全力を尽くしたと言えるようにしたい。
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私はほめられると弱いので、いいぞ、いいぞって言われると、嬉しくてどんどんがんばっちゃうんです。
私はすべての大会において、結果がどうなろうとも、スタートラインに立った時は「やるべきことはすべてやった」という気持ちでした。なぜそういう気持ちになれるかというと、それまでの一日一日がすべて、「きょうはすべてやりきった、もう走れない」「ありがとう。あしたもまた一緒にがんばろう」と抱き合って終わる毎日を過ごしてきたからです。
太陽みたいな存在ですね。いつも明るく照らしてくれて。時には親になり、時には恋人のような時もあるくらい、すごく身近な方です。私以上に私のことを知っているのかなと思います。
ウェイトトレーニングも含めた正しいトレーニングをする事で、パフォーマンスアップが望めると思います。
これはあくまで持論ですが、私たちの時代は優勝を目指さなければ意味がないという感じでした。だから、ここで練習をやめて7、8位を争うくらいなら、けがをしてもいいから上位に食い込もうと練習していました。絶対にけがをするとは限らないのだから、とにかくやってみようと。勝ちに望みをかけていました。メダル争いを放棄するくらいなら、ギリギリまで粘ってやるという感じで、練習に突き進んでいた気がします。
レース中の決断は非常に臨機応変かつ迅速に下されます。瞬時の判断が要求されるので、自分を研ぎ澄ませておかなければなりません。ただ、マラソンは42.195キロと長いので、常に研ぎ澄ませていると疲れてしまいます。リラックスしている状態と研ぎ澄ませている状態、そのオフとオンをうまく使い分けることが大切ですね。決断をする瞬間がまさにオンになる瞬間で、そこからは爆発力です。最初からずっとピリピリしていたら、その爆発力には結びつきません。
高橋尚子のすべての名言