高橋尚子
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自分だけのバイブル。
現役を引退して、これから何をしていこうと考えた時、それまで走ることしか考えていなかったことに気づきました。自分は「井の中の蛙かわず」だったと。逆にそうでなければいけなかったとは思うんですが、一日の生活は食べて、寝て、走るという、本当にそれしかなかったんです。テレビも見ず、パソコンもケータイもしない、そんな純粋なマラソン生活でした。
不安におびえず、この瞬間自分が強くなることをひとつでも多くやろうという考え方は、陸上だけではなく、陸上を終えた今の生活の中でも同じです。目標を立てたあとは、結果より今の行動に焦点をあてるようにしています。
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あきらめたとは思ってないです。
私はその日のうちにすべてを出したい。レースでは一、二分の違いが何十番もの差になる。一日で見たらわずかな時間でも、その練習を翌日に持ち越さなくてはいけなくなる。これくらいでいいやではなく真剣にやってほしい、そう思っていました。
本当に強い人が順当に入ってくれればいいんですが、毎回波乱が起きるのが選考会ですよね。私も落ちましたが、それが実力だったと思っているので納得しています。もめると思うとちょっとドキドキするんですが、変に救済措置をすると、それもまた問題な気がします。
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今はまだスポーツキャスターをやっていても反省点が多くて、テレビに出た後、かなり落ち込むことが多いんです。
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「ちょっとだけ頑張る」ことを、毎日続けてみよう。
あそこに勝たないと、私の次の扉はいつになっても開かないんです。ですから、あの坂を自分で乗り越えて勝ちたかった。
トレーナーという職業に対する認識が、日本でもっと高くなるといいなと。そこに、伸び率があるのかなとも思います。
辞めようと思って暗闇にいた私だけど、夢を持っていれば光が見える。それを支えてくれた人に伝えたい。
私自身、初めからトップアスリートだったわけではないじゃないかと。高校・大学時代は本当に弱かったので、キャスターになって、いきなりスラスラとうまくいくわけはないんだと。これを続けていけばもう少し上まで上がっていける。陸上で言えば実業団のレベルになれるようにがんばろう、という気持ちでやっています。
「何も咲かない寒い日は下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く」。これは高校時代の恩師がくださった私の座右の銘です。結果は目に見えますが、成長は目に見えないものです。
自分で選んだ道だからこそ、今、何の後悔もなく、前を向いて歩いてこられたと思っています。
金メダルも世界記録もすごいと思いません。それより目標を達成した喜びが大きいです。
マラソンという競技は、自分の身体を42,195km運ばなければいけないので、実はたくさん筋肉をつけすぎても負担になってしまうんですよね。ただ、しっかりとした、体幹も含めた筋力トレーニングをする事は、能力をさらに向上させてくれると思います。私自身も腹筋は毎日2000回と、背筋、腕立て伏せは毎日していました。走る以外のトレーニングが、走る事にしっかりとつながっていると思います。
性格はポジティブなんですけど、落ち込む時は落ち込むんです。現役時代は、しっかり練習して一日が終われば、きょうは8割できた、9割できたと、充実感と達成感を感じられたのに、この仕事に就いてからは反省ばかりで、「きょうは20%、30%しかできなかった」と落ち込んでしまうんです。
考えたところで見えていないもの、まだ分からないことをあれこれ悩んでも仕方ない。
輝ける場は人それぞれ。いかに輝くかはその人次第だと思います。
市民ランナーはいろいろな指導本を参考にしたり、市民ランナー同士で情報交換したりしながら切磋琢磨せっさたくましています。そういった層の厚みが増して、全体のレベルアップにつながることに大きな意味があると思います。
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