中村修二
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材料ができればいいんですよ。皆さん、難しい化学式がどうのこうのって勉強するでしょうけど、そんなん言語の一つなんですから。難しい化学式を使ってつくる人もおれば、私みたいに何にもなしでつくっちゃう人もいる、それでも結果は一緒なんですよ。
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「世界標準」は公式の会合ではなく、その裏で開かれる雑談から生まれてきます。立食パーティーとかでお酒を飲みながら「今度、企画会議で標準化を議論しよう」とか盛り上がって、その場にいる企業や研究者などに声をかけて話が大きくなっていくわけです。公式の場に出て議論する段階では、もう決まっています。
科学の世界では、博士号を持っていない人は科学者ではなくてエンジニアなんです。つまり、学部卒・修士卒は「お助けする人」。月収も倍以上違います。博士課程の学生と教師だけで寄り集まっていたし、裏方扱いの私はディスカッションに呼んでもらえなくて、いつもカヤの外で黙々と研究するだけでした。
「ロボット大量養成教育」と私は言っているのですが、日本では5教科なら5教科、全員が同じことをさせられる。サイエンスに限らず、これでは美術や音楽が好きな子は育たない。
基本的に、外国の人はサイエンスが好きで、日本人はサイエンスが嫌いなのかもしれませんね。
物理っていうのは自然界、モノと対話する言語なんですから。単に言語!言語なんて無限にあるでしょ。どの言語が優れているとはだれも言えないでしょ。どの言語を使おうが、私の場合は直感でつくったんですけどね。できりゃいいんですよ。モノが!究極のゴールはそこ。
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受験競争をリタイアすれば、やりたいことに取り組む時間が十分にとれるからです。極論になりますが、好きな道で成功したかったら、今の日本の学校からは早く落ちこぼれた方がいいくらいです。
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日本のエンジニアのみなさんには、本当に好きなことをだけをやって欲しい。私自身、青色LEDを発明できたのは、考えることが好きだったからです。だからこそ、時間のある限りどん底まで突き詰めて考え尽くしたんです。その結果、ブレークスルーできた。つまり本当に好きなことであれば、どんな苦労もいとわないはずです。
日亜化学の先代社長・小川信雄氏には感謝している。彼の研究支援がなかったらこのノーベル賞はなかった。
会社の資金援助があって徳島の有名な英会話学校に通いましたが無駄でした。アメリカに着いて、経由地のアトランタ空港のアナウンスもまったく聞き取れなくて、搭乗時間が過ぎても呼び出されないからおかしいなと思ってゲートに行ったら「もう飛行機のドア閉まったよ!」。それくらい英語は全然わからなかったです。
仕事は「メシを食っていくため」。自分の好きなこと、趣味に合うことでメシが食っていければ、それは人生の成功者ですね。
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不思議なもので、いつか決定的なアイディアが浮かぶと信じていれば、本当に浮かんでくるものなのだ。
日本の研究者はサラリーマンで、良い研究をしてもボーナスが増えるだけ。
世界には沢山の人がいて、インターネットでつながっているんですから、発信すれば誰かが見つけてくれる。
「うちの子には得意なものなんてないんじゃないか」という心配は無用です。どんな子どもにも、開花するのを待っている才能の芽があります。ただ、その芽は人それぞれで、ウルトラクイズ王選手権のような日本の入試を勝ち抜くのには役に立たない才能もあるでしょう。しかしそれは、その芽を摘む理由にはならない。
なにか問題が出てくると、論文を読んだりいろいろ勉強している人は、その場で「こうじゃないか?」ってパッと意見を言うんですよ。すごいなと思うんですよね。自分は論文とか読まないし、まったくそういう風ではないから、そのときはわからない。だけど、気にかかってそれをずっと考えているんです。そうすると1週間後とか2週間後にいいアイデアが出るんです。だから案外、2週間後には自分は勝ってる。いつも当たるとはいえないですけどね。
組織の論理は捨てなければならない。組織は独創的な考え方をつぶすだけだからだ。
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リスクの高いものを選ぶ精神がないと、大きなブレイクスルーやノーベル賞級の発明は出来ない。
日本では学生は大学で勉強しない、英語もやらない。それで企業に入れば日本だけで商売。これじゃ鎖国だ。米国の講義は面白いし、理系は英語だから。
私はね、研究が得意なんですよ。ただ自己流で考えることが得意なんですね。非常に簡単なことですよ。研究のテーマとして人がやってないことを選んで、それを突き詰めて考えて考えて、あとはやるしかない!それ以外は特にないです。
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