ショーペンハウエル
1
重要な思想を誰にでもわからせるように表現するほど難しいことはない。
無知は富と結びついて初めて人間の品位をおとす。
0
軽信というものは、善良に生まれついた人に具わる特徴である。
誰かが嘘をついていると疑うなら、彼らを信じたふりをするといい。すると彼らは大胆になり、もっとひどい嘘をついて正体を暴露する。
2
孤独を愛さない人間は、自由を愛さない人間になってしまう。なぜなら、孤独でいるときにのみ、人間は自由になれるのだから。
礼節とは、道徳的にまた知的に貧弱な互いの性質を互いに無視し合いながら、非難しまいという暗黙のうちの協定である。
金銭は、人間の抽象的な幸福です。だから、もはや具体的に幸福を享楽する能力のなくなった人は、その心を全部、金銭にかけるのです。
推理する能力を持っている人はたくさんいるが、判断する能力を持っている人は少ししかいない。
読書は、他人にものを考えてもらうことである。本を読む我々は、他人の考えた過程を反復的にたどるにすぎない。習字の練習をする生徒が、先生の鉛筆書きの線をペンでたどるようなものである。だから読書の際には、ものを考える苦労はほとんどない。読書にいそしむ限り、実は我々の頭は他人の思想の運動場に過ぎない。そのため、ときにはぼんやりと時間を潰すことがあっても、ほとんど丸一日を多読に費やす勤勉な人間は、次第に自分でものを考える力を失っていく。
人間の社交本能も、その根本は何も直接的な本能ではない。つまり、社交を愛するからではなく、孤独が恐ろしいからである。
4
人は、その生涯の最初の四十年間において本文を著述し、続く三十年間において、これに対する注釈を加えていく。
世論は振り子の運動の法則に従う。
人生は苦しみと退屈のあいだをたえまなく揺れ動いているようなものだ。
船荷のない船は不安定でまっすぐ進まない。一定量の心配や苦痛、苦労は、いつも、だれにも必要である。
3
われわれのすべての災禍は、我々がひとりきりではいられないことに由来する。
人生の幸福にとっては、我々のあり方、すなわち人柄こそ、文句なしに第一の要件であり、最も本質的に重要なものである。
未だかつて、自分は本当に幸福だと感じた人間は一人もいなかった。
犬がいないなら死んだほうがましだ。
運命がカードを混ぜ、われわれが勝負する。
人々は閑暇を犠牲にして富裕を得る。だが、富裕は自由な閑暇があってこそはじめて望ましいものとなる。富裕のために自由な閑暇を犠牲にしなければならないならば、私にとって富裕が何になるだろうか。
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