富野由悠季
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必ずしも、現在皆さん方が目にしているようなアニメや漫画の作品が豊かだと僕は思いません。
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だから俺はこういうものを作りたいんだっていう風にバックしてくるフィルターにしなさい。
絶対的に新しいものが世の中にひとつだけあります。それは、「世の中は変わっていく。時代が変わっていく。明日は新しい」のです。この時代性に合わせていくことは、少なくとも回顧でもなければ、コピーしようにもコピーのしようがありませんから、「次の時代のスタイルになるものを発見する」「その表現の方法を考えてみる」と考えてはいかがでしょうか。
ゲームは麻薬。
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いま目の前にある携帯電話でアクセスできるレベルの社会的なデータに関しては、一切手を触れてはいけません。そのようなデータであまりにも簡単に時間つぶしができてしまうので、自分が勉強することを忘れてしまうからです。
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アニメや漫画を好きなだけで入ってきた人間が作るものは、どうしてもステレオタイプになる。
今ではガンダムというとシードやデスティニーですからね。非常にムカついてます。
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その生きた目線で見て今時代ってのは、こうで。
僕が小学三年生のころ、近所に廃品回収で生活している夫婦が引っ越してきました。彼らは粗末なプレハブ小屋のようなところで10年以上生活していたんですが、ある日突然、ごみの山だったところに総ヒノキの二階建ての家が建ったんです。僕にとっては大変な出来事でした。逆に考えると、そういう生活を10年以上続ければ、あなたにも家を建てられる可能性があるということです。
好きこそものの上手なれの「好き」のレベルが、時代によって格段の実力差、センスの差になっているのは認めます。しかしだからといって、自分はどこのレベルにいるのかという値踏みはしていただきたい。
そのかわり、あなた達は今こうやって間違いなく現前として生きているんだから。
アニメや漫画は、子供が親に隠れてこっそり見るものであり、大人になればアニメはさっさと忘れなさい。
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こんなクェスのオ●ンコ、僕は舐めないよ!
いま自分はその職業の順位のどこにいるのか、意識してみてください。真ん中あたりにいる人は、転職した場合にはやはり真ん中の位置にくるか、それよりも間違いなく下の位置になります。一方、いまいる立場で誰もが日本一であると認める技術を持っている人なら、よっぽど不適格な職種に就かない限り、どこの業界でも成功するでしょう。
身体を動かすことなく日々を過ごすだけの状況では、いくら勉強の時間をつくっても、頭には入らないでしょう。集中できないまま、だらだらとテレビを見たりゲームをしたりということになってしまうのならば、一日に一時間は体を動かす時間を作ってください。とにかく外に出て汗を流す。考えるな!その前に体を動かせ!
意識して自分の不得意分野の仕事もするようにしていました。「いなかっぺ大将」みたいなギャグアニメの絵コンテも手掛けたこともあります。悲惨な結果でしたけどね。「ヘタクソ!」「笑えない!」と散々に言われました。でもそれがよかった。できないからこそムキになれるんです。「じゃあ、どうすれば笑わせられるんだろう?」と一所懸命考え、そして自分の得意分野のロボットアニメで実験をするんです。
それであったにしてもその程度の個性だったら使い物にならないんだから捨てろ!
僕だってフリーランスの身ですから、いまの仕事がなくなったときには、たとえば明日からでもアニメとは関係のない他の仕事ができるように心しています。常に職業には貴賤がないということを理解している自分でありたいと思っているのです。
お金は基本的に出ていくものですから、どうしてお金が貯まらないんだろうという程度の疑問しか出てこない人には絶対お金を貯めることはできません。お金を貯めるという行為は、無理をしなければできません。もっと極端な言い方をすれば、己の体を削ってでもお金を貯めるという意識がなければ駄目なのです。僕があなたにこういうことが言えるのも、何より僕がお金を貯められなかった人間だからです。
人の自立と義務と主権の発見と、人が作ってしまう悪癖の発見。
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