鍵山秀三郎
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効率と非効率は陽と陰のようなものだと私は考える。どちらがいいか悪いかではない。陰陽のバランスが崩れれば世の中が乱れる。効率を追求するあまり、バランスが崩れているのが今の社会だ。
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自分にとっての幸せの価値を見失わず、いつもたおやかな心で生きていこうとすること。それが理想の人生に近づくための心がまえではないでしょうか。
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モラルを保ち、それを真の企業評価に結びつけて利益を上げることが大切なのに、売上と利益のみを優先するとモラルの低下を招き、企業の存在理由すら失ってしまいます。問題を把握する想像力が欠落しているのは、経営者として致命的だと私は思います。
誰にでもできることを、誰にもできないくらいやる。平凡なことを徹底的にやれば、非凡になる。
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効率化に集中すると、他者のことを思いやる余裕がなくなり、自分の与えられたことだけをやる。しかも、個人の成果が洗いざらい数字に表わされる。ますます部署ではなく、誰が成績を上げたかだけが問題になって、人間性が介在する余裕がなくなってくるのです。
現在、41都道府県に「掃除に学ぶ会」が結成されています。私は、その横断組織ともいえる「日本を美しくする会」の会長ということになっているのですが、昨年12月11日も「日本を美しくする会」と「広島掃除に学ぶ会」が広島県警と連携し、暴走族らの少年少女たち26人と一緒になって、公園のトイレ掃除を行ってきました。最初、少年少女たちも「だましやがったな」「こんな話聞いてねえよ」と怒ってましたが、私たちが黙々と掃除する姿につられて掃除を始めました。それも本当に一生懸命にやってくれたのです。彼らの一人がポロッと「こんな大人もいるんだな」と洩らしていたそうですが、それを聞いて私が感じたのは「少年少女たちの根底にあるのは大人への不信感。それが暴走という行為につながっている」ということです。心しなければならないと反省させられました。
公益社団法人のACジャパンが、思いやりが大事だといったテレビコマーシャルをさかんに流しています。もちろん間違ってはいないのですが、お金を使ってまで宣伝することではないと思うのです。それよりもなぜ思いやりの心が育たない社会になったのか。その仕組みを解明し、根本的な原因を追究していかないと、あのようなコマーシャルをいくら放送しても意味がないのではないでしょうか。
気の利いた文面よりも、ハガキはとにかく書くことが大切。
過去に感謝できる人は未来のことを考えることができる。過去に対する感謝もない人は未来を考えることができない。
不幸というものは、いつもいきなり背中から襲ってくるものです。予告なしに訪れるものであるからこそ、日常の気構えが必要なのです。
私が考える責任感の本質とは、自分以外の守るべきものを持つことにあります。
ひとつ拾えばひとつだけきれいになる。
段取り8分に、仕事2分。貴重な先人の訓えがあります。後始末をきちんとすることが前準備につながり、仕事の質と効率を高めます。
いまの若者は、よく富や名声を目標にして自己実現したいと言います。しかし、そんなところに自己実現なんてないんです。本当の自己実現は、人の役に立って喜ばれたときなんです。地位だとか名誉だとかいう欲望だけを満たして、それが自己実現だと考えるのは大変な勘違いです。
長いことやっていれば社風や社員が変わってくることは確かです。しかし、自分が払っている努力に対しての効果は遅い。だから皆何でも途中で止めちゃうわけです。8年ほど前のことですが、私は森信三さんのこんな言葉に出合いました。「教育とは流水に文字を書くようなはかない業である。だがそれを巌壁に刻むような真剣さで取り組まねばならぬ」もっと早くこの言葉を知っていたら、私は迷わなかったかもしれません。ただそれを知ったのは最近のことですが、自分がやってきたのはこのことだ、森信三さんの言ったことを、私は本当に身をもってやってきたのだと思いました。
目先の損得にこだわる振る舞いは、私から見れば将来確実に不幸になる行動と言えます。なぜならそこには、人として高邁に生きようという美意識がなくなっているからです。そして、そのような美意識のない人物が大成した例を、私は見たことがありません。それは、今までにたくさんの人を見てきた私の、間違いのない法則です。
人は案外、人の話を聞いていないものです。自分の言う分だけを話して、人が話すことには興味がなければ上の空。それだけに、人の話を真剣に聞くと、たいへん喜ばれます。話し上手になるには、聞き上手になることです。
よその会社のように、その人の上げた売上高、利益額といった数字で評価したりすることはありません。その人がいかに誠実に仕事に取り組んでいるか、誠実にお客様に奉仕しているか、そういったメンタルなものを主たる評価基準にしています。
自分の意にならない、そんなつらいときにこそ成功する。自分の都合のいい条件でやっても成功はない。なぜなら、これをこうすればとか、こうなればとか、さらにいい条件を期待してしまう。そうなれば、すべてに甘えが出て絶対に成功しなくなるのです。
いままで、誰にでもできる平凡なことを、誰にもできないくらい徹底して続けてきました。そのおかげで、平凡のなかから生まれる大きな非凡を知ることができました。この非凡には、人を心底感動させる力が秘められています。
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