松田公太
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アルバイト・フェローを叱るときは真剣に叱りなさい。そのとき、なぜ叱ったのか理解してもらうために、徹底的に理由を説明してください。そして、何よりもまずアルバイトフェローを好きになること。彼らに成長してもらいたいと心から思うことが大切です。
「私は特別な経験をしたこともないし、何をしていいのかもわからない」と言う人がいる。果たして本当だろうか。まずは、自分が使命を持って生まれてきたことを信じよう。そして、それを探す努力をしてみよう。使命とはある日突然、天から雷のように落ちてくるものではない。ふとしたきっかけでそれを発見する幸運な人もいるが、ほとんどの人の使命は奥底に眠っているものを自分で探しださなくてはならない。いままで自分が歩んできた人生を、足元からじっくり見なおしてみれば、きっとどこかにヒントが隠されているはずである。
タリーズ1号店を作るために、生まれてはじめて7000万円もの大金を借りた。私は借用書に印鑑を捺す前に、自宅近くのコンビニをまわった。そしてアルバイトの募集状況と自給を調べ、1日15時間働けば、30年程度で借金を返済できることを確認した。別に失敗したからといって、命まで取られるわけではない。あとは自分の力を信じて、挑戦し、最後まで諦めないことだ。
能力がある人と情熱がある人、どちらを採用するかと問われれば、私は迷わず「情熱がある人」と答える。他の業界はどうか知らないが、タリーズのような飲食業では、情熱さえ持ち合わせていれば、人は必ず成長できると信じている。
私ほど人に恵まれた人間はいないと思っている。いま現在、私とともに仕事をしてくれているフェローのうち、一人でも欠けていたら、タリーズは失敗に終わっただろう。運は人が運んでくるものであると私は信じている。人は無意識に情熱の発信者に引き寄せられる。だから運も、自然と情熱を持った人間のもとに集まってくるのではないだろうか。
物件選びに関して、私は素人同然だった。しかし、結果的にはそれが良かったのかもしれない。神谷町の物件も、先入観を持たずに見ることができたのだ。
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どんなことをするにも情熱の有無で結果は大きく変わってくる。私は人より特別な才能を持っているとは思っていない。ただ、自分の信じたことに寝食を忘れて打ち込むことはできる。情熱は誰でも平等に持つことができる。その点が生まれ持っての資産や容姿、才能とは違う。
会社を始めて以来、嬉しいこと、悲しいこと、苦しいこと、楽しいこと、本当に様々なことを経営を通じて経験してきた。以前から感じていたことだが、とくにここ数年で痛感するようになったのは人間の弱さである。自分のミスや自分の弱さ、不出来を認められずに、言い訳をしたり、他人のせいにしたりする人がいかに多いことか。私自身、自分の弱さは十分に自覚しているつもりだ。だからこそ、安易な快楽や贅沢に流されてしまうことが怖い。だからこそ、たとえ会社が順調に成長していても、経営者として常に自分を追い込む姿勢が大切だと思う。
あなたの夢と目標を教えてください。そう聞かれて、即座に応えられる日本人はどれほどいるのだろうか?「夢」と「目標」はまったく別物だと私は考えている。目標とは、具体的な計画に基づいて、自分の実生活の羅針盤として必要なもの。一方、夢とは、たとえ具現性が乏しいとしても、思い描くだけで心が満たされるものだと思う。活力にあふれた人生を送るためには、夢と目標の両方が必要だ。どちらかひとつが欠けても人生もったいない。
日本では株式公開をゴールと考える向きもあるが、上場とは本来、事業拡大に向けた手段のひとつであって、会社にとってはスタートラインに過ぎないはずだ。会社の成長を期待する投資家に株を買ってもらい、経営者は期待に応えられるように事業を大きくする。そうすれば、株価も上昇して投資家にも喜んでもらえることになる。
最初に好感触を得たからといって、それだけで契約が取れるわけではない。少しでも油断して、電話だけで「宜しくお願いします」なんてやっていると、いつの間にか話がひっくり返ってしまうことは日常茶飯事。契約書にサインするまで、また、売買や融資の契約であれば口座にお金が入金されるまで、気を許すことはできない。詰めが一番重要であり、最もエネルギーをかけるべきところだ。
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情熱は不思議と「運」をも引き寄せ、不可能だと思っていたことを可能にしてしまう力を持っている。
私が短期間で一店舗から上場企業までステップアップすることができたのは、自分の立てた目標に向かい、使命感と情熱を持って歩んできたからだと思っている。
10代の8年間を過ごしたアメリカの生活は、私の人生に大きな影響を与えている。起業家精神について、何も学校やビジネススクールで勉強しなくても、アルバイトなどを通じて実生活から自然に学べてしまう。それがアメリカの良いところだと思う。
私は人に会うのが大好きだ。自分の知らない人の話を聞くのは実に楽しい。そんな私にとって就職活動は、いろいろな業界の人と会える絶好の機会だった。就職活動を通じて、全部で40社ほどの人と会ったと思う。二度とない機会だけに、できるだけいろいろな業界の話を聞こうと試みた。業界もメーカーから商社、広告代理店、銀行、証券までと幅広かった。
あらゆる仕事について言えることだが、最も大切なのは情熱だ。
私は挫折感とは無縁の人生を送ってきた。銀行での仕事がうまくいかなかったり、起業してからも失敗したことはあった。しかし、楽観的な性分なのか、それとも苦労を苦労と感じないのか、失敗を挫折とは考えないのだ。
サービスとはお客様の顔を見て、自然な会話ができるようになってこそ本物と言える。もちろん、これはマニュアルを実践するよりは、はるかに難しいこと。あの店に行けば、コーヒーを買いながら気持ちの良い会話まで楽しめる。そうした印象を広めることも、リピーターを増やすためには不可欠だった。
「思い立ったが吉日」「聞くは一時の恥、聞かぬは末代の恥」というのは、子供のころ、母が教えてくれた格言である。とことんチャレンジしてみないと気が済まない私の性格には、いまは亡き母に教えられたことが生きている。
フェロー同士は名前をファーストネームで呼び合うことにした。これは経営理念の作成以来、ずっと守っている伝統だ。一緒に働く仲間にファーストネームで呼びかけることで、お互いに親しみを持ち、絆を築くことができると信じている。
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