田中良和
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逆境は確かにつらい。ただ、グリーという会社は逆境の中で、常に耐え、常に新しいものを生み出してきました。それが私たちの歴史です。
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当社はインターネットで世の中を変えていこうという非常に次元の高いゴールを目指しています。そのためには、かなり頑張らなければならなくなるのは必然です。世の中はそう簡単には変わりませんから。それなのに、「なんでこんなに頑張らなければいけないのですか」「世の中は変わらなくても別にいいと思います」と言われると、困ってしまいます。そういう意見を持つのも悪くないと思いますが、やはり一緒に働くのは無理です。
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インターネットのサービスを考えるうえで重要な才能は、自分の使わないものをつくれるということです。新しいサービスを作り上げていく過程で、決して自らの感覚を「ユーザーの中心」と考えないように心がけています。たとえ自分は使わなくても、その商品がどう使われるのか理解し、その利用者に向けてものをつくるのです。
僕たちの考え方に賛同して入社した人には、「それは、本当にやりたいの?」「それは世の中を変えるのに何か意味があるの?」とことあるごとに厳しく突っ込みます。精神主義といわれればその通りです。そうしないと個人も伸びないし、会社も目的を達成できません。
グリーは世の中の多くの人が誤解しているかもしれませんが、ずっとうまくやってきた会社ではないのです。私から見ればこの10年の歴史でそれなりにうまくいっていた時代はほんの2~3年です。それ以外の時期は、ほかの会社と比べてプロダクトが劣っていると言われたり、会社に未来がないと言われたりすることの方が多かった。
1年ほど前に、ある地方で講演を行う機会がありました。グリーも創業当初は、周囲から「うまくいかないよ」と言われ、しばらくはサービスを維持するのがやっとという時期がありました。そうした会社の歴史などをお話しすると、皆さんから、「簡単にうまくいって成長したと思っていましたが、山あり谷ありだったんですね」と言われました。どうしても、うまくいっている部分だけが世の中に広まっていきますからね。
インターネットはゲーム化してきています。つまり、誰にでも楽しめて、分かりやすいものが支持されている。
最近、読書の目的を大きく3つに分けて考えるようになりました。
1990年代を中高生として過ごした私は、世の中に対して大きな違和感を抱えていました。というのも、バブルが崩壊した当時の日本は、努力しても意味がない、どうせ何も変わらないから、頑張るだけバカらしい、そんな雰囲気に包まれていたように思えたからです。そうしたなか、出会ったのがシリコンバレーやインターネットでした。そこで働いていたのは、経験も実績もない若者ばかり。まだウェブやメールが普及するなんて夢のような話だった頃ですが、彼らの目は輝きにあふれていました。情報発信やコミュニケーションのあり方を変えるんだ――。そんな情熱を語りながら仕事に没頭する姿に衝撃を受けたことが、当社のミッションの原点となっています。
会社を作った時はミクシィと比べられ、フィーチャーフォン向けにゲームを作り始めたら、DeNAがあるからうまくいかないと言われました。決して順風満帆な10年間ではありませんでした。私としては、こうした中でがむしゃらに頑張ってきたつもりです。
当社が目指すのはインターネットを通じて世の中を変えることです。といっても、それをいまやっているSNSやモバイルゲームで実現することにはこだわっていません。10年後、20年後にどんな商品でそれを達成するか、それはこれから見つければいいと思っています。ソニーだって創業5年目のとき、将来ゲームや映画をやると想像もしていなかったはずですから、これだというものがまだ見えていないのは、むしろ当然でしょう。
仕事に直接関係しない、情緒的な本を読むことで、合理一辺倒になりがちな経営の場にいても、人としての心のバランスを保つことができます。それと同時に、人生の根源を問う本からは、経営やビジネスマンに求められる情熱や熱量も学べるような気がします。
あまりライバルを意識していません。それより私たちのサービスをユーザーのためにより良いものにしていくことに尽きると思う。
次々に高いステージに上がっていくには、これまでの成功体験を捨てることが一番の課題です。成功体験を捨てろというのはよくいわれることですが、それがどういうことなのか、そのあと何が起こるのかはやってみないとわかりません。
この10年を振り返って一番つらかったのは、起業当初、誰も入社してくれなかったことです。社員を集めようとしても誰も入ってくれない。取りあえず数人いた社員の携帯電話に入っている友達一覧を壁に張って、1人ずつ入ってくれるかどうか議論するといったことを真剣にやっていました。
平日の夜中や土日に作業していたので、休みはゼロでした。それにサーバーの費用も何百万円とかかっていました。同じ時期にほかのSNSも始まりましたけれど、会員数が増えてくると、個人がボランティアでやっているものと会社が組織的にやっているサービスでは、サポートにも差が出てしまいます。GREEを続けていくためには、会社をつくるしかないと思いました。
これからも日々より良いサービスを作って、より多くの人々へ提供することに尽きます。ソニー、アップル、任天堂などが、それぞれの領域の中で何十年も続けてきた様に、我々もインターネット業界で繰り返し挑戦し続けたい。
ユーザー数が伸びるのは良いサービスを作っているからです。そして、売り上げが伸びるのは、そこに価値があるからです。
すべてが年齢だとは思いませんが、やはり50~70代で大企業の舵取りをしてきた人たちから学ばなければと思うようになりました。5年も10年もかけて自分たちで学んでいる場合ではありません。とにかく先人に耳を傾けるようになりました。
楽天でブログサービスを3年ぐらい担当していて、そろそろ新しいことを始めたいと思っていたときに、アメリカでSNSが流行っていることを知ったんです。でも、SNSをやりたいと会社に提案したところで、説得できるだけの材料がありませんでした。じゃあ、趣味でやってみようと始めました。
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