田中良和
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確かに人と違うことをするのは勇気が必要です。でも、自分なりのチャレンジングな気持ちをもつこと、いわゆる「アントレプレナーシップ」の精神は忘れたくないですね。諦めずに突破口を探すことが大事だと思います。
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携帯電話のSNSといえば、これまでは10代、20代の若い世代のユーザーが中心でしたが、GREEでは全体の約4割を30代以上の人が占めています。自分の身近な人たちの興味関心から一度離れること。ユーザーの拡大にはこのことが重要だと考えています。
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これからも日々より良いサービスを作って、より多くの人々へ提供することに尽きます。ソニー、アップル、任天堂などが、それぞれの領域の中で何十年も続けてきた様に、我々もインターネット業界で繰り返し挑戦し続けたい。
世の中が変化している以上、必要とされる存在であるためには、変わることを恐れてはいけない。そう強く思っています。
集客で僕が参考にしているのはディズニーランドです。あそこは昔から変わらないようでいて、じつは一部のアトラクションの入れ替えが定期的に行われています。そのバランスが絶妙なので、いつ訪れても安心感と新しい発見の両方を味わうことができます。だから何度も行きたくなるし、飽きないのです。
社会を変革するようなすごいアイデアは頑張り続けることでしか実現できません。
現在当社では、国内での会員数2000万から3000万人を目標に、新たな開発を進めています。テーマにしているのは、オセロのような「終わりのないゲーム」をつくることです。一度、クリアしてしまったらそれでおしまいというゲームはつくりたくありません。第三者とSNSを通してコミュニケーションできるからこそ、そのゲームには終わりがなくなるのです。
漫画家が読者の意見を端から聞いて、その通りに描いても読者は喜ばないし、支持もされないでしょう。読者は何が面白いのか、じつは自分でもよくわかっていません。それを想像して描けるのが、優秀な漫画家なのです。けれども、それは読者と目線が同じというのとは少し違います。売れっ子の漫画家って、朝から晩まで机に噛り付くような生活ですけど、そんな読者はいないじゃないですか。つまり、自分の感覚とは違うものが想像できてつくれなくてはならない。僕が自分のところに求めているのは、まさにこういう能力です。
自分たちができる以上のことをやろうとすれば、当然、ゆがみが生じてしまう。
社員を採用するとき、この人と一緒に働きたいかどうかが大事です。とくに会社が厳しいときや上手くいっていないときでもそう思えるかは、能力やスキルといったスペック的な基準よりも明らかに重要な採用基準です。それは、自分たちと同じ価値観を持っている人と言い換えてもいいかもしれません。
経営書の類はあまり役に立たない気がします。そこに書かれている答えは正しくても、実際はその答えに行くまでが難しい。経営の難しさって本当はそこにあるのです。
イノベーションには「連続的なもの」と「非連続的なもの」があります。連続的なものであればユーザーの声を直接的に反映させることで生み出されたのかもしれません。しかし、まったく新しい非連続的なものを生み出すためには、ユーザーの声を咀嚼し、未来に起こることを想像することが必要です。
自分はリーダータイプだと決めつけて、部下のときに中途半端なフォロワーシップしか発揮できない人は経営者に向いていません。自分に求められていることがよくわかっていないから、リーダーシップもおかしな方向に発揮して失敗するんじゃないでしょうか。
当社はインターネットで世の中を変えていこうという非常に次元の高いゴールを目指しています。そのためには、かなり頑張らなければならなくなるのは必然です。世の中はそう簡単には変わりませんから。それなのに、「なんでこんなに頑張らなければいけないのですか」「世の中は変わらなくても別にいいと思います」と言われると、困ってしまいます。そういう意見を持つのも悪くないと思いますが、やはり一緒に働くのは無理です。
逆境は確かにつらい。ただ、グリーという会社は逆境の中で、常に耐え、常に新しいものを生み出してきました。それが私たちの歴史です。
僕がラッキーだったのは、前職の楽天での経験があったことです。僕が楽天に入社したときは、まだ社員が数名でした。そこから会社がどんどん大きくなって、最終的には2000人を超え、プロ野球チームを保有するまでになった。そういう中で会社がどのように変わっていくかを、内部にいて逐一見てきたので、自分で会社を経営するようになっても、どれくらいの規模のときどんな問題が起こり、それはどうやって解決すればいいか、あらかじめわかっていました。それで初めての人よりも上手く対処できたと思っています。
パソコンが登場した当時は、こんなもの誰も使わないといわれていたし、テレビも映画会社が全盛期の時代は誰も見ないと言われていました。インターネットだって同じです。19990年代の後半以降、PCの性能や通信技術がよくなって、いまでは誰も予想しなかったくらい当たり前に使われています。その歴史を考えたら、いままさに性能が格段に上がっているモバイルにも同じことが起こるのは自然でしょう。ダウンサイジングというコンピュータの歴史の流れの中に、モバイルへの移行は違和感なく位置づけられると考えています。
採用面接において僕が重視しているのは、その人の考え方です。履歴書を見れば、その人の人生において決断した事柄が何かあります。大切なのは、その決断を下した理由です。もちろん理由に正解はないし、いろいろな考え方があっていい。ただ根本のところで共感できないと、同じ会社で同じ目標をもって働くことは難しい。逆に何か共感できるところがあれば、考え方に多少の違いがあってもいいんです。むしろそれがお互いの刺激になって、仕事を良い方向に導いていけるかもしれませんから。
インターネットはゲーム化してきています。つまり、誰にでも楽しめて、分かりやすいものが支持されている。
未来というものは、過去と現在の連続にあるものです。だからこそ、過去から現在の流れを見ることで、その先が見えるときもあります。私は、「PCからモバイルへ」という大きな時代の流れが、メディアやインターネットの歴史の中にどう位置付けられているかを常に考えてきました。
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