田中良和
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SNSにこだわらず、時代に合ったサービスで世の中を変えていければいいのです。わからないことに挑戦するのがベンチャーです。
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未知なことに臆せず挑戦できるのは、起業に欠かせない才能。
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現在、物販以外のEC、そして新しいコミュニケーションツールの開発に着手しています。もしかしたら周囲からは「そんなのはうまくいかない」と言われるかもしれません。ただ、振り返れば私たちはいつもそう言われ、そして結果を必ず出してきました。新しい事業をやっていくということは、そういった様々な人の様々な言葉に惑わされない、強い意志が必要だと思っています。
上場した時に感じたことは、縁起が悪い話ですけど、僕には、「死ぬ自由」もないかもしれないと。多くの人に迷惑をかけるので、おいそれと死ぬわけにはいかない。
米オープンフェイント買収は結果的に失敗になりましたが、決して無駄な買収とは思っていません。それまで、我々はカリフォルニアの会社を経営したことはありませんでした。買収後のマネジメントもうまくできなかったと思います。価値観の違いもあって、すぐに社員が辞めてしまうことも多々ありました。ですが、ここで学んだことが大きかった。その後、米ゲーム制作会社のファンジオを買収することになるのですが、そこで培った経験を生かすことができました。今、彼らが制作したゲームは買収直後と比べて売上高が5倍、10倍に伸びています。
他社を意識しても、自分の会社にイノベーションを起こすことにはつながりません。僕らが商品開発をするとき考えるのは、ユーザーが何を求めているかや、世界がどのように変わるかといったことで、他社の動向やビジネスモデルは関係ないのです。
昔からネットの世界にいる人は初体験には慣れっこなんです。当時は業界もなく、初めてのことをやるのは当たり前。だから、ゲームを誰も作ったことがなくても、何とかなるだろうと。
サービスは長く続いてこそ、良いサービス。
僕らはインターネットで仕事をしているのですから、ネットの世界の標準速度で仕事をするのは当然のことです。
米ヤフーやグーグルの創業者は、25歳前後で起業しています。そう考えると、このままではいけないと強く感じていました。
提供する側が完璧だと思っても、本当にそれが完璧かどうかは、使ってみなければわからないというのが、僕らの考え方です。
すべてが年齢だとは思いませんが、やはり50~70代で大企業の舵取りをしてきた人たちから学ばなければと思うようになりました。5年も10年もかけて自分たちで学んでいる場合ではありません。とにかく先人に耳を傾けるようになりました。
楽天でブログサービスを3年ぐらい担当していて、そろそろ新しいことを始めたいと思っていたときに、アメリカでSNSが流行っていることを知ったんです。でも、SNSをやりたいと会社に提案したところで、説得できるだけの材料がありませんでした。じゃあ、趣味でやってみようと始めました。
将来性の見極めには慎重さが必要ですが、いったんやると決めたらリスクを取って、果敢に攻めていくことも大事。
どんなに優秀でも、自分たちと価値観を異にする人とは一緒に働けません。それは会社をやってきて僕が得た結論です。
グリーは最初、趣味で始めたんです。今でこそSNSは事業として成立していますけど、以前は全く儲からなかった。学生起業ならまだしも、社会人の起業は利益が出ないと話にならない。儲からないのなら、趣味として始めようと。
スティーブ・ジョブズはiPhoneで世界に変革をもたらしました。ただ、彼が事業を始めてからそれを実現するまでに、30年という長い年月がかかりました。ジョブズにそれができたのは、パソコンの時代から地道に事業を続けて資金や企業の信用力というものを築き上げてきたからです。それを考えると、一夜にしてイノベーションを起こすのは無理です。社会を変えてしまう大きな仕事は、長い年月を走り続けた先にようやく実現できるものです。
次々に高いステージに上がっていくには、これまでの成功体験を捨てることが一番の課題です。成功体験を捨てろというのはよくいわれることですが、それがどういうことなのか、そのあと何が起こるのかはやってみないとわかりません。
この10年を振り返って一番つらかったのは、起業当初、誰も入社してくれなかったことです。社員を集めようとしても誰も入ってくれない。取りあえず数人いた社員の携帯電話に入っている友達一覧を壁に張って、1人ずつ入ってくれるかどうか議論するといったことを真剣にやっていました。
平日の夜中や土日に作業していたので、休みはゼロでした。それにサーバーの費用も何百万円とかかっていました。同じ時期にほかのSNSも始まりましたけれど、会員数が増えてくると、個人がボランティアでやっているものと会社が組織的にやっているサービスでは、サポートにも差が出てしまいます。GREEを続けていくためには、会社をつくるしかないと思いました。
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