井上雄彦
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終わると分かってから色々な思いって出てきますよね。
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いかに分かった気にならないかが、楽しく描けるかどうかの分かれ道。
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みんな、自分が成長するためには、逆境みたいなものが必要だって本能的にわかっているんだろうな。
僕が今、「一番売れているのは「ONEPIECE」だから、「ONEPIECE」っぽくしよう」みたいなことをやったら、きっととんでもないことになる。僕が、あるいは他の作家さんが「ONEPIECE」になろうとする必要は全然ない。それと同じで、漫画じゃなくてもどんな人にでも当てはまると思うけど、何か他のものになる必要はない。その人が見つけた自分の必然に従えばいい。
「光」を描くために「闇」を描く。
昔、すごく調子が良かった時に5時間で3話分できたことがあった。
僕の心の内側で、ガウディと共有できる部分があるとしたら、自然に対する畏怖の念や、絶対的な信頼じゃないかと思います。
生きるとは…的なことだったりとか今の時代に受けようっていう気持ちももちろん勝負論の中でありますけど、でももっと大事なのは何年経っても、どの世代でも、何か普遍的なものがあるっていうことが大事だと思っているんでね。
「何かに気づく目」というのは、少なくとも急いでいる時には使えない。
心からの思いを、傷つくのを回避するために早々に引っ込めてほしくない。僕らは何かの結果のために今を生きているのではない。挑戦の一瞬一瞬が、本番の舞台だ。
時代も国も取っ払っても通じるようなもの…。人間ってことだと思いますけど。人間を描けるかどうかじゃないですかね。
僕にとって「スラムダンク」のラストは「ああ、こんなに良い終わり方はないな」というものでした。
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絵を描くこと自体が楽しい、そういう瞬間もありましたね。
大切なパーツは目です。
連載はライブですね。生き物ですね。だから話の先がどっちに転ぶかというのも作者自身も分かってなかったりするし、まあ、生なものですよ。
下書きの時に思っていた以上に自分の思っていた以上のいい顔ができる時ってあるんですよね。
マンガの絵は、どこか「分かったつもり」で描いている。そうじゃないと描けないんです。「こういう顔なんだ、こいつは」というのを決めないと成立しない。でもずっとそれをやっていると、「何かがくっついちゃっている状態」になっちゃう。
やっぱり読者がいなければ、マンガは成立しないんです。自分の内なる衝動みたいなものを爆発させようと描いているわけでは全くなくて、読んでくれる人がいるからこそ描いているんです。
プロフェッショナルとは向上し続ける人だと思っています。
人物というのはもうキャラクターですから、「自分が知っている範囲」の絵にどうしてもなっちゃって、なかなかジャンプできません。
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