本田宗一郎
0
社長なんて偉くない。
技術者だからそこ自重してはならない。技術者の正装とは真っ白なツナギだ。
1
一生のうちに好景気、不景気は必ずめぐってくる。そんなことにジタバタしても、仕方がないよ。「満つれば欠ける世の習い」ともいうだろ。不幸を乗り切ってこそ幸福もある。人間の幸せも景気、不景気も同じようなものさ。
私の現在が成功というのなら、私の過去の失敗がみんな土台づくりをしていることにある。仕事は全部失敗の連続である。
人生というものは、最後まで行かぬと成功だったか失敗だったかは、にわかに断じ難いものなのである。
2
独創的な新製品をつくるヒントを得ようとしたら、市場調査の効力はゼロとなる。大衆の知恵は決して創意などはもっていないのである。大衆は作家ではなく、批評家なのである。
我々は、最初から苦しむ方向をとったから、あとは楽になった。真似をして楽をしたものは、その後に苦しむことになる。研究者として大事なところはそこだろうと、私は今でも考えている。一度、真似をすると、永久に真似をしてゆくのである。
需要があるからつくるのではない。我々が需要を創り出すのだ。
息子や親せきでないと社長にしないとか、東大出でないといかんとか、企業に関係のない条件で社長を選んでいるところがある。みんなが見ているというのに、それでいいと思っているんですかね。会社は大勢が飯を食うところ、大勢の生命の源泉です。そこを忘れたら会社は潰れますよ。
3
女房はセーフティ・バルブ。
パートナーとは腹をぶち割って話し合う。
成功は99%の失敗に支えられた1%だ。
商売では資本がないより、アイデアがないのが問題。
若い者は体験が少なく、経験も浅いから、よく分からないこともあるだろう。どうしても合わないと思えば、これは仕方がないんだから、やり直せばいい。それができるのが若さの特権というものだよ。この若さというものは人生に二度ない素晴らしいものだ。
そんなバカなことはないだろう。苦労して城を作ってくれたのだから大事にするなり、せめて情報の隔離ということからすれば島流しくらいがあたりまえで、殺すとは何事だ。
私はずいぶん無鉄砲に生きてきたが、やったことで成功したものはわずか1パーセントにすぎない。99パーセントは失敗の連続であった。そしてその1パーセントの成功が、現在の私である。
創意工夫、独立独歩、これをつらぬくにはたゆまぬ努力がいるし、同時に、ひとりよがりに陥らぬための、しっかりした哲学が必要となる。行動にはつねに動機があり、目的がある。動機が正義であり、目的が善であって、その行動だけが悪だということは、人間にはありえない。
人真似をするな。楽をしたければ人真似をするのも自由だが、そうなると企業は転落と崩壊の道をたどり始める。
我々の相手は1億の日本人ではなく、世界30億の人間。世界で売れる車なら、必ず日本でも売れるはずだ。
死んでから来ては、名医もヤブ医者以下だ。
本田宗一郎のすべての名言