出井伸之
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これからは個々の社員が起業家、事業家にならないとビジネスがうまくいかない。
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マネージメントにも様々なスタイルがありますが、私はオープンに自分の考えを打ち出して、みんなに共有してもらいたいと考えています。
ソニーの会長を退任して、現在の会社を立ち上げたのも越境への挑戦です。大企業のサラリーマン社長からベンチャー企業の創業者に越境したわけです。境界を超えなければ見えない景色があります。そうした新しい景色を見るのはチャレンジングで、非常に楽しい。
他人と異なる強みを持つことができれば、社外からも必要とされる人材になれる。
日本を"IT不況"と言うのはおこがましい。本格的なITに移行できていない日本と第一次のIT革命を終えた米国を同列に考えるべきでない。
若いうちはその時のことで精一杯でしょう。18歳になったら10年後のこと考えるように孫に言いましたが、「青春を謳歌しているのにそんな先のことを考える余裕など無い」と返されてしまいました。しかし、それでも若い頃から考えることに意味があります。
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ソニーでも足し算の文化のごとく、オーディオ・ビジュアル・ビジネスの上にITビジネスを乗せてしまおうというわけです。この両業種を合わせて、いままさにはじまったデジタルの爆発的な成長に貢献していけるようなモノづくりをしていこうということです。
経営者が自分の後継者はいないと傲慢に言い出したら終わりです。いま私が直面している、大変だなと思うことを分析して、それを次の人がやさしくできるような仕組み作りをしたいと思っています。
失敗しても危機ではなく、次のチャンスだと考える。ネガティブに捉えて悪い方向に進むのと、どちらが良いかは明らかでしょう。
イギリスが英連邦で一番栄えた時期に、東インド会社は若い人を世界中に派遣して商売をやらせました。これが最高のマネジメントスクールだと私は思います。うちの30代の社員も、アルゼンチンで社長をしたり、ロシアで一生懸命やって返ってくると見違えるほどたくましくなる。
日本という国は足し算の文化だと思うのです。アメリカの文化は、Aがあって次にBに変わったら、Aはなくなってしまう。でも、日本の文化は違います。AプラスBという形で変わっていくことができるのです。AからBになっても、Aはなくならない。それが足し算の文化なんです。
企業の寿命は短くなっています。会社の旬は18.1年というデータもあるほどです。一方、人間に目を向けると、寿命だけでなくビジネスマンとしての時間も伸びている。したがって、会社より自分の命の方が長いことになります。「会社に入ればそれで安泰」と思うのは大きな間違いです。
マイクロソフトは我々とは関係がない。マイクロソフトはテクノロジーの会社ではない。
日本のいいところは、競争しながらも相手から学ぼうとする姿勢を忘れないところだと思います。競争にはルールが常に存在しています。どこかと戦略的に提携しようというのは強さを補完する意味を持たないことも多い。強ければ競争すればいいんです。
いまの問題点をわかりやすくビジュアル化して、社員の頭の中に焼きこむことは、経営者の重要な仕事だと思います。私の経営哲学は和です。なんて言ってもわかりません。社長としてのこの三年間、難しいことをいかに簡単に説明するかということを心掛けてきました。
さっき山内さんが話してくださったことを全部書き留めておこう。ソニーは全部、その逆をやって、独自のフォーマットで新しいゲーム機を作ろうじゃないか。
多くの人が販売促進のことと思っているようですが、マーケティングとは売れるための潜在力を創造することです。
自分自身をひとつの会社だと考えなさい。そう考えると、月収を売上げだとすれば、個人価値に値するのは株価。通常企業ではどちらも見なければいけません。売上げが同じ会社であっても、株価が異なることは多いでしょう。
それぞれの業界にはルールがあって、そのルールを理解したうえで弱点を見つけてブレイクするようなことをすれば勝つことができる。ソニーが任天堂のモデルに競り勝ったプレイステーションが、今度はセガの新しいモデルから技術面でもビジネスモデルとしてもチャレンジを受けます。ビジネスはこの繰り返しです。
日本の得意技でもあった「ものづくり」が、いま通用しなくなっています。ものづくりという呼び方自体が、私には時代に合っていないように思えます。ネット時代に入ってから、メーカーは製品をつくるだけでは利益に結びつかなくなりました。ネットの世界とつながって初めて、製品は価値が認められるのです。かつてのものづくりと、ネットの技術の連携が求められているのです。
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